抗うつ剤の投与量は承認範囲内でも低めが最適と判明 -用量反応メタアナリシスが示す効果と副作用の最適バランス-

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古川壽亮 医学研究科教授、Andrea Cipriani オックスフォード大学教授、Georgia Salanti ベルン大学准教授らの研究グループは、新規抗うつ剤の固定投与量を比較した77臨床試験(19,364人)のデータをもとに用量反応メタアナリシスを実施しました。

その結果、承認範囲の低めまでは投与量の増加に従って効果が増加するものの、それ以上投与しても効果は増えないかむしろ減少すること、副作用による脱落については投与量を増やせば急激に増加すること、したがって、承認範囲の低めで効果と副作用のバランスが最適となることを示しました。


うつ病は人類にとって疾病による苦悩の最大原因です。うつ病治療の柱の一つは抗うつ剤ですが、すべての抗うつ剤には承認された投与量の範囲がありその中でもどれくらいの量が至適投与量なのか、そもそも抗うつ剤には用量反応関係があるのか、今まで明らかにされていませんでした。

今後、うつ病治療ガイドラインに本研究成果が反映されることが期待されます。

本研究成果は、2019年6月7日に、国際学術誌「Lancet Psychiatry」のオンライン版に掲載されました。

図:抗うつ剤は、承認範囲内の低めで効果と副作用のバランスが最適となる

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1016/S2215-0366(19)30217-2

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/241786

Toshi A Furukawa, Andrea Cipriani, Philip J Cowen, Stefan Leucht, Matthias Egger, Georgia Salanti (2019). Optimal dose of selective serotonin reuptake inhibitors, venlafaxine, and mirtazapine in major depression: a systematic review and dose-response meta-analysis. The Lancet Psychiatry, 6(7), 601-609.

  • 京都新聞(7月30日 17面)に掲載されました。