災害時に高齢者の施設ケアは続けられるか―利用者・排泄衛生・職員向けの備え―

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概要

 高齢者が集団で暮らす施設は、災害時には命を守るとともに、食事や排泄など日常のケアを持続させることが必要です。国は2024年までに高齢者施設の事業継続計画(BCP)策定の義務化を求め9割以上の施設で策定したとのことです。しかしBCPの策定は、ケアを続ける具体的備えを必ずしも意味しません。京都大学大学院医学研究科健康情報学中山健夫教授と静岡社会健康医学大学院大学の森寛子准教授の研究グループは、静岡県の特別養護老人ホームや有料老人ホームなど9種の施設全1,366施設を対象に、2023年2月から8月の質問票調査により632施設(46.3%)を分析しました。分析した施設の95.9%が施設内にとどまってケアを続けると想定していましたが、明確な計画を持った施設は37.7%でした。利用者の飲料水3日分は78.6%、食料は76.3%が準備されていた一方、災害用の簡易トイレ類は43.2%、排泄物の凝固剤は17.2%でした。職員向けの備えは全体の約半数でした。この結果は、BCPの策定状況だけでなく、具体的な備えを確認することで災害時のケア継続を実現する支援につなげる重要性を示唆しています。研究成果は、2026年10月22日に国際学術誌Disaster Medicine and Public Health Preparednessにオンライン掲載されました。

画像
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高齢者居住施設における災害時のケア継続に向けた3つの備え(森寛子作成 ChatGPT 5.6 Sol使用)

研究者のコメント

「高齢者居住施設は、制度や所管行政が異なる多様な施設があります。今回、そうした区分を越えて静岡県内の施設を幅広く調査しました。調査依頼は郵送2回と未回答施設に電話で協力依頼をしたことで、多くの施設の回答をいただきました。排泄環境の整備は高齢者の尊厳や自立した生活を守るうえでも重要です。計画策定だけでなく、利用者と職員の双方を支える具体的備えの充実で、ケア継続の実現を実現してほしいと思います。」(森寛子)

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1017/dmp.2026.10445

【書誌情報】
Hiroko Mori, Hatoko Sasaki, Takeo Nakayama (2026). Operational Preparedness for Care Continuity During Disasters in Japanese Aged-Care Facilities: A Prefecture-Wide Survey. Disaster Medicine and Public Health Preparedness, 20, e194.