研究者情報
研究者名
小川 順
研究者名
安藤 晃規
概要
京都大学大学院農学研究科の小川順教授、安藤晃規助教、日本新薬株式会社の田宮央登氏、津田謙太郎氏らの研究グループは、食品の微生物リスク評価や日持ち評価に用いられる植菌試験において、食品表面で増殖する微生物の比増殖速度を非破壊かつ定量的に推定できる新たな評価手法を開発しました。
本研究では、食品表面にメンブレンフィルターを載置し、その上に微生物を接種して顕微鏡で経時観察しました。顕微鏡画像では、不明瞭な細胞領域とその周囲に特徴的な暗色の環状領域が観察され、これらを合わせた領域を「Bounded area」と定義しました。さらに、Bounded areaの画素数の経時変化を画像解析によって取得し、そのデータに基づいて、微生物の比増殖速度を推定可能な数理モデルを構築しました。乳酸菌を用いた検証では、数理モデルより推定した比増殖速度が、従来のコロニーカウント法から算出した比増殖速度と高い一致を示し、本手法の有効性が確認されました。本成果により、食品の日持ち評価、保存条件の検討および日持向上剤の効果検証などにおける、評価の省力化・迅速化への貢献が期待されます。
本研究成果は2026年9月26日に、国際学術誌「Food Microbiology」にオンライン掲載されました。
試料を破壊する従来法に対し、本手法では同じ試料を繰り返し観察し、菌の増え方を画像から評価します。(作成者:田宮央登、生成AI:Microsoft Copilot)
研究者のコメント
「本研究では、食品開発や品質評価の現場で課題となっている微生物増殖評価の効率化を目指し、顕微鏡画像解析と数理モデルを組み合わせた新たな比増殖速度推定手法を開発しました。本手法は、食品表面における微生物増殖を非破壊かつ連続的に評価できる新たな技術として位置づけられます。今後、食品の日持ち評価や品質管理の効率化に加え、食品表面における微生物の挙動や生態の理解にも貢献することを期待しています。」(小川順)