研究者情報
研究者名
堀毛 悟史
研究者名
上原 広充
概要
脱炭素化とエネルギーの安定供給につながる「水素社会」を目指す動きが国内外で活発になっていますが、現在の水素製造は化石燃料を使う方法が主流で、環境負荷が大きいことが問題です。解決策として再生可能エネルギーを使う水の電気分解があり、主に「アルカリ水電解」と呼ばれる方法が行われています。100℃以下で運転されるこの方法は、天候で変わる太陽光や風力の電気に合わせにくく、装置も大がかりになりがちです。工場などから出る水蒸気や排熱を利用しやすい150℃から250℃の温度域で水電解できる手法を確立できれば、これらの課題を解決できる可能性があります。しかし、この温度域で水分解に必須であるプロトン(水素イオン)を安定して通す膜の材料はほとんどありませんでした。
京都大学大学院理学研究科 堀毛悟史 教授、上原広充 同特定准教授(三井金属株式会社との産学共同講座)らの研究グループは、金属イオンと有機分子からなる「金属-有機構造体(MOF)」のガラスに、窓ガラスの性質を調整する「修飾成分」の考え方を応用した膜をつくり、広い温度域でプロトンを通すことを実証し、170℃の水蒸気を電気分解して水素をつくることに成功しました。化石燃料を使わず排熱を生かすグリーンな水素製造への応用が期待されます。本研究成果は、2026年10月21日に米国の国際学術誌「Journal of the American Chemical Society」にオンライン掲載されました。
【DOI】
https://doi.org/10.1021/jacs.6c14370
【書誌情報】
Ellan K. Berdichevsky, Motoyasu Yamasaki, Takuya Kurihara, Taichi Nishiguchi, Siyuan Ye, Koki Ando, Yuta Hashiguchi, Hiromitsu Uehara, Carl K. Brozek, Satoshi Horike (2026). Modifier-Driven Proton Conductivity in Hybrid Glasses above 200 °C. Journal of the American Chemical Society.