デジタル錠剤向け超低電力時計回路を開発―体内発電に対応し、極小面積を7nmで実証―

ターゲット
公開日

研究者情報

研究者名

YOU WU

研究者名

Yugo Ishioka

概要

 京都大学大学院情報学研究科の新津葵一 教授、劉昆洋 同助教、ウ ヨウ 同修士課程学生、京都大学工学部電気電子工学科 石岡悠吾 学部学生らの研究グループは、大塚製薬株式会社と共同で、のみ込んで体内を計測するデジタル錠剤に向けた超低消費電力のタイマ(時計)回路を開発し、最先端の7ナノメートル世代の半導体製造技術で試作し、動作を確かめました。

 デジタル錠剤では、常に動き続けるタイマ回路の電力と大きさが重要です。本研究では、同じ回路を電圧方向に積み重ねて電流を再利用する技術を発展させ、回路モジュールごとにウェル(トランジスタを作る領域)を分離することで、従来は再利用できなかったゲートリーク電流まで再利用可能にしました。その結果、従来の約47分の1の面積(0.00015mm²)、0.79nWの消費電力で0.96Hzのクロック信号を生成できました。7nm世代の先端プロセスで1Hzを下回るタイマを実現した本成果は、体内環境を時間情報とともに継続的に記録するデジタル錠剤の実現につながると期待されます。

 本研究成果は、2026年10月8日から10日に韓国・仁川で開催される国際会議「IEEE BioCAS 2026」で発表されました。

画像
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開発したタイマ回路とデジタル錠剤への応用イメージ。一般的な錠剤の直径は5mmから6mm程度で、その中に約1mm角のチップを搭載することを想定しています。図右では1円玉(直径20mm)と大きさを比べています。タイマ回路は、このチップの中のわずか4µm×38µm(0.00015mm²)の領域に収まります(図右下)。(クレジット:京都大学大学院情報学研究科 新津研究室)

研究者のコメント

「研究を支えてくださる関係者の皆様に御礼申し上げます。今回、先端の7nm FinFETにおいて、体内で自律的に時を刻む回路を極めて小さな面積と電力で実現できました。基盤技術の開発と応用の開拓を並行して進め、体内環境モニタリングの実用化に貢献してまいります。」(新津葵一)