中川貴文 生存圏研究所准教授は、木造住宅の地震時の損傷状況や倒壊過程をシミュレートするプログラム「ウォールスタット(wallstat)」の機能強化版をフリーソフトとしてホームページで公開しました。ウォールスタットは、パソコン上で建物を3次元的にモデル化し、過去に起きた地震や想定される極大地震など様々な地震動を与え、木造住宅の耐震性能を動画で確認(見える化)することができます。住宅設計者などに累計5万回以上ダウンロードされています。建物が倒壊するまで計算できるのがこのソフトの特徴です。
これまで、数多くの実大振動台実験との比較検証を踏まえ、独自のシミュレーション理論の開発と精度向上を重ねてきました。今回の機能強化版では、耐震性能新しい評価指標である「ウォールスタット・グレード(wallstat grade、以下「グレード」)」を導入しました。木造住宅のwallstatにおける耐震性能を表す新たな評価指標で、この指標により、住宅会社や住宅の購入を検討している消費者が、耐震性能を瞬時に理解できる数値となっています。実務設計者が目標とする耐震性能をグレードにより定めることや、消費者が耐震性能を比較することが簡単になりました。研究者や構造設計者だけでなく、工務店・ハウスメーカーの設計者等にも幅広く普及し、防災意識の啓発などに活用されることが期待されます。
研究者のコメント
「最近では販売する全棟の木造住宅にwallstatを導入する住宅会社が増えてきました。高校生が研究として使用して、意見交換する機会も増えてきています。ウォールスタット・グレードの導入はユーザーから寄せられていた声を反映したものです。このソフトの普及により、耐震性能の理解が進み、将来起こりうる巨大地震時の被害軽減につながるとうれしいです。」
日刊工業新聞(2026年1月21日 31面)、毎日新聞(2026年1月27日 19面)に掲載されました。