西之島の大規模噴火により絶滅した植物個体群の起源を解明

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 中野智之 フィールド科学教育研究センター准教授、野田博士 理学研究科特定助教、髙山浩司 東京都立大学教授らの研究チームは、小笠原諸島の西之島にかつて生育していたスベリヒユ(Portulaca oleracea)の遺伝的特徴を解析し、同島の個体群が小笠原諸島の他の島から由来していたことを明らかにしました。さらに、西之島の個体群は独自の遺伝的組成を持つことから、定着過程における創始者効果や遺伝的浮動の影響を強く受けた可能性が示唆されました。本研究は、激しい火山活動により植生が完全に消失した西之島にかつて生育していた植物群落の成立過程を遺伝子情報に基づき解明したもので、海洋島における生態系形成のメカニズムに関する重要な知見を提供します。

 本研究成果は、2025年7月28日に、国際学術誌「Plant Systematics and Evolution」に掲載されました。

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2019年に撮影された西之島の海岸付近の様子
研究者のコメント

「普段は海洋生物の研究をしているため、あちこちを駆け回っての植物の採集はとても新鮮でした。サンプルの葉っぱをお茶パックに小分けに入れるのですが、スーパーでどこにお茶パックが陳列されているのか分からず途方にくれたり、車で走っている時に今のはスベリヒユだったかも!?と動体視力が鍛えられたり、漁港の片隅でかっぴかぴのくっちゃくちゃの茎を見てこれはスベリヒユだなと分かるようなったりと楽しい研究でした。」(中野智之) 

研究者情報
研究者名
野田 博士
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1007/s00606-025-01957-y

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/295483

【書誌情報】
Hiroshi Noda, Tomoyuki Nakano, Kazuto Kawakami, Takashi Kamijo, Mari Marutani, Michael Angelo Paragas Fernandez, Koji Takayama (2025). Origin of populations of Portulaca oleracea on Nishinoshima, an active volcanic oceanic island. Plant Systematics and Evolution, 311, 4, 26.