CCTV映像の解析で明らかになったミャンマー地震の断層すべり挙動―湾曲したすべりとパルス的破壊の動態に関する新知見―

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※ 「関連リンク」を追加しました。(2025年7月25日)

 地震発生時の断層の動きをその場で直接観測することは極めて困難であり、地震学では通常、地震波形の解析を通じて断層の動きを推定しています。2025年3月に発生したミャンマー・マンダレー地震(マグニチュード7.7)では、偶然にも地表に現れた断層の動きがセキュリティーカメラに記録されていました。

 Jesse Kearse 理学研究科研究員と金子善宏 同准教授は、この映像をピクセル相関法で解析し、局所的なすべり速度と方向を定量化することに成功しました。解析の結果、断層は最大3.2 m/sの速さですべり、2.5±0.5 mの横ずれが1.3±0.2秒で発生していたことが明らかとなり、地震破壊がパルス的に進行するという仮説の直接的証拠となりました。さらに約0.3 mの上下成分を伴うすべりも確認され、これまで地質調査から間接的に示唆されていた現象が、初めてリアルタイムに実証されました。これらの成果は、断層破壊の物理的理解を飛躍的に深め、強い揺れを引き起こす地震動の成因解明や、地震動予測の精度向上に貢献する重要な知見です。

 本研究成果は、2025年7月18日に、国際学術誌「The Seismic Record」にオンライン掲載されました。

研究者情報
研究者名
Jesse Kearse
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1785/0320250024

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/295381

【書誌情報】
Jesse Kearse, Yoshihiro Kaneko (2025). Curved Fault Slip Captured by CCTV Video During the 2025 Mw 7.7 Myanmar Earthquake. The Seismic Record, 5, 3, 281-288.