果実を食べる動物は、植物の種子を様々な場所へ運んだり、発芽を助けたりすることで森林の更新に貢献しています。果実を食べる動物といえば鳥類や哺乳類をイメージしがちですが、トカゲなどの爬虫類にも果実を食べる種類がいます。しかし、トカゲによる果実食や種子散布は、他の動物と比べ重要でないと思われており、トカゲがどの程度果実を食べ、種子散布に貢献しているのかの詳細はほとんどわかっていませんでした。
福山亮部 理学研究科博士課程学生、野依航 農学研究科博士課程学生、伊與田翔太 理学研究科修士課程学生(研究当時)、佐藤宏樹 アジア・アフリカ地域研究研究科准教授、田金秀一郎 鹿児島大学准教授からなる研究グループは、マダガスカル北西部の熱帯乾燥林で、カメレオンを含む3種のトカゲが色も形もさまざまな20種類以上の植物の果実を食べていることを明らかにしました。またその一部で発芽実験を行い、糞として出てきた種子に発芽能力があることも示しました。トカゲはマダガスカルの森林で果実を食べ、種子を散布することで森林更新に貢献している可能性があります。
本研究成果は、2025年5⽉29⽇に、国際学術誌「Biotropica」にオンライン掲載されました。

【DOI】
https://doi.org/10.1111/btp.70052
【書誌情報】
Ryobu Fukuyama, Wataru Noyori, Shuichiro Tagane, Shouta Iyoda, Hiroki Sato (2025). Frugivory by Three Species of Lizards in Madagascar: Implication for Their Ecological Roles as Seed Dispersers. Biotropica, 57, 4, e700