シリカがタイヤを高性能化する秘密を中性子と水素のスピンで解明―「埋もれた界面」を観測する新技術で、複合材料の高機能化に貢献―

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 複合材料では、異種材料間でのナノレベルの結合が重要です。例えば、自動車用のタイヤでは、ゴム材料の性能を高めるためにシリカナノ粒子を添加しています。その際、ゴム材料とシリカナノ粒子の結合を強くするためにカップリング剤も添加します。このカップリング剤がゴム材料とシリカナノ粒子の異種材料間でどのように機能しているかを知るためには、異種材料の界面をよく観測する必要があります。

 しかし、電子顕微鏡やX線、中性子線を使用した従来の手法では、ゴムとシリカの界面でカップリング剤がどのように機能しているかを調べることはできません。

 そこで、竹中幹人 化学研究所教授、熊田高之 日本原子力研究開発機構研究主幹、西辻祥太郎 山形大学准教授、阿久津和宏 総合科学研究機構副主任技師、鳥飼直也 三重大学教授、網野直也 横浜ゴム株式会社理事らの共同研究グループは、開発したばかりの「スピンコントラスト変調中性子反射率法」を用いました。本手法により、ゴム材料とシリカナノ粒子の界面にカップリング剤が単分子層を形成していることを観測できました。またカップリング剤層の構造や組成から、カップリング剤とゴム材料との相互浸透がゴムとシリカの結合の要となることを明らかにしました。

 本成果を応用することで、今後は耐摩耗性が大幅に改良されたタイヤが開発されることが期待されます。また本手法を用いてさまざまな複合材料における界面状態を決定することで、それぞれの分野の材料開発に貢献していくことも期待されます。

 本研究成果は、2024年5月16日に、国際学術誌「The Journal of Physical Chemistry C」にオンライン掲載されました。

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