CAR-T細胞療法後に発熱が持続するとその後に血球減少が高率に起こる―最先端の治療における悩みの種をKyoToxモデルで解決―

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 キメラ抗原受容体T(CAR-T)細胞療法が臨床でひろく実施されるようになり、投与後の遅発性血球減少が問題になっています。この合併症は、重症感染症や出血リスクの増加、入院日数の延長によるCAR-T施設への負担増加、輸血や顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)製剤投与の可否を決定するための通院による紹介元施設への負担増加を引き起こします。

 そこで、中村直和 医学部附属病院医員、城友泰 同助教、新井康之 同助教(病院講師、検査部・細胞療法センター副センター長)、長尾美紀 同教授(検査部・細胞療法センター長)、髙折晃史 同教授(病院長)らの研究グループは、悪性リンパ腫に対してCAR-T細胞療法を受けた90症例を対象に、CAR-T細胞輸注後のサイトカイン放出症候群(CRS)の発症や持続期間および炎症マーカーで遅発性血球減少の発症を予測できないか検討を行いました。その結果、CRSの重症度ならびに持続期間と遅発性血球減少の発症に相関が認められました。また、CAR-T輸注後に経時的に採血で測定する炎症マーカーの中で、C反応性ペプチド(CRP)のピーク値および持続期間、ならびに血清リン低下の有無も、遅発性血球減少の発症および持続期間と関連があることがわかりました。これらの因子を用いて、KyoTox-a scoreモデルを作成したところ、遅発性血球減少の発症や持続期間を精度高く予測できることが確認されました。事前に正確に遅発性血球減少の発症およびその期間を予測することで、より適切なCAR-T治療の実現が期待できます。

 本研究成果は、2024年1月26日に、国際学術誌「Transplantation and Cellular Therapy」にオンライン掲載されました。

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研究者のコメント

「CAR-T療法の実施件数が全国で増えるとともに、CRSなどの派手な急性期合併症の管理は徐々に向上しつつあります。その一方で、遅発性血球減少に代表される晩期合併症は、未解決な部分が多く、重症感染症や出血リスクの増加、入院日数の延長によるCAR-T施設への負担増加、輸血やG-CSF製剤投与の可否を決定するための通院による患者および紹介元施設への負担増加を引き起こしています。今回得られた知見は、CAR-T細胞療法後のより安定した管理に貢献し、我々が提唱する『細胞療法運用学』の屋台骨のエビデンスの一つになるものと期待しております。」(中村直和、新井康之)

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1016/j.jtct.2024.01.073

【書誌情報】
Naokazu Nakamura, Tomoyasu Jo, Yasuyuki Arai, Toshio Kitawaki, Momoko Nishikori, Chisaki Mizumoto, Junya Kanda, Kouhei Yamashita, Miki Nagao, Akifumi Takaori-Kondo (2024). Clinical impact of CRS on prolonged hematotoxicity after CAR-T cell therapy: KyoTox a-score, a novel prediction model. Transplantation and Cellular Therapy.

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