触媒技術を応用した新しいレドックスフロー電池 二酸化炭素を活物質にして充放電の実証に成功

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※ 本文を一部修正しました。(2023年10月5日)

 山本旭 人間・環境学研究科助教、吉田寿雄 同教授らは、兼賀量一 産業技術総合研究所主任研究員、大平昭博 同研究グループ長らと共同で、イリジウム錯体触媒を介した二酸化炭素とギ酸塩のレドックスを利用した新しいレドックスフロー電池を開発し、その動作環境中におけるイリジウム錯体の活性種を分光学的手法で同定しました。

 定置用大型蓄電池として特徴があるレドックスフロー電池は、再生可能エネルギーの導入時の電力系統安定化の候補として期待されています。一方で、活物質の選択肢は、可逆的に酸化還元する金属イオンや有機分子に限られていました。今回開発された技術では、安定かつシンプルな化合物の代表である二酸化炭素をモデル化合物に選択し、触媒により活物質として利用できることを実証しました。これらの成果は、触媒技術の応用であり、活物質の選択肢を広げ、レドックスフロー電池の性能向上に向けた新しい活物質開発につながります。

 本研究成果は、2023年8月31日に、国際学術誌「Angewandte Chemie International Edition」にオンライン掲載されました。

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触媒に基づいた新しいレドックスフロー電池の概要
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1002/anie.202310976

【書誌情報】
Ryoichi Kanega, Erika Ishida, Takaaki Sakai, Naoya Onishi, Akira Yamamoto, Hiroki Yasumura, Hisao Yoshida, Hajime Kawanami, Yuichiro Himeda, Yukari Sato, Akihiro Ohira (2023). An Aqueous Redox Flow Battery Using CO₂ as an Active Material with a Homogeneous Ir Catalyst. Angewandte Chemie International Edition.