神経性やせ症患者の不安に対するマインドフルネス瞑想の効果―脳活動の変化を明らかに―

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 野田智美 医学部附属病院研究員、磯部昌憲 同助教、村井俊哉 医学研究科教授らの研究グループは、マインドフルネス瞑想によって神経性やせ症患者の不安が低減すること、また不安に関わる脳領域の活動が変化することを明らかにしました。

 神経性やせ症は、健康を損なうほどの”やせ”がみられるにもかかわらず、体重増加を過剰に恐れ、拒食や過食嘔吐などの食行動異常がみられる精神疾患です。カロリー摂取制限による低体重・低栄養によって生命の危険が生じる場合もあります。私たちは、神経性やせ症患者の中心的特徴である「体重増加に対する不安」に焦点をあて、マインドフルネス瞑想を用いたプログラムを実施しました。そして、治療プログラムの前後で、本人が「体重増加に対する不安」を受容しようとしている時の脳活動を機能的MRIを用いて計測しました。

 神経性やせ症患者が「体重増加に対する不安」を受容しようとする際には、扁桃体、前部帯状回、楔前部、後部帯状回など不安に関わる脳領域が活動しますが、これらの脳領域の活動が4週間のマインドフルネスプログラムの実施後に低下していることが結果から示されました。これは、神経性やせ症患者の不安に対し、マインドフルネス瞑想が脳活動を変化させることで効果を発揮する可能性を示唆しています。

 本研究成果は、2023年2月2日に、国際学術誌「BJPsych OPEN」にオンライン掲載されました。

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研究者のコメント

「本研究はご参加下さった神経性やせ症の患者さん達のお陰で実施することができました。マインドフルネスのプログラムを通して皆さんの生のお声を聞かせて頂くことが出来た事は、私にとってかけがえのない宝物のような経験になっています。この場をお借りして深く感謝申し上げます。また、実験を支えてくれた研究チーム(Team Eating Disorder Imaging: TEDI)のメンバーにも心からの感謝を伝えます。」(野田智美)

研究者情報
研究者名
野田 智美
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1192/bjo.2022.637

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/279083

【書誌情報】
Tomomi Noda, Masanori Isobe, Ryo Mishima, Keima Tose, Michiko Kawabata, Toshihiko Aso, Shisei Tei, Shun'ichi Noma, Toshiya Murai (2023). Neural correlates of a mindfulness-based intervention in anorexia nervosa. BJPsych Open, 9(1):e22.