予測に基づいて行動を選ぶ脳の回路の発見―2次運動野が担う予測的な行動選択―

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 濱口航介 医学研究科講師、高橋(青木)裕美 同技術補佐員、渡邉大 同教授らの研究グループは、予測に基づいて行動を選ぶための脳の回路を突き止めました。環境が変化することを学習した動物は、報酬がもらえて今までに良かった行動をずっと続けるのではなく、変化を予測して行動を変化させます。2次運動野において、この予測に基づいて価値を計算する細胞たちが発見されました。この2次運動野の神経活動を行動の数秒前から抑制するだけで、予測的な行動ができなくなりました。この結果から、予測に基づいて行動する時には2次運動野の神経活動が重要であることがわかりました。

 本研究成果は、2022年11月23日に、国際学術誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」にオンライン掲載されました。

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研究者のコメント

「これまで、後ろ向きの価値と、前向きの価値を分離するには、脳がコンピュータと同じようなアルゴリズムを実装しているという強い仮定に基づいた解析が必要でした。本研究では、環境が決定論的に変化するようにデザインすることで、前向きの価値が解析的に計算でき、そのため特定のアルゴリズムに依存せず、わかりやすい形で、後ろ向きと前向きの価値の分離が可能になりました。その結果、予測に基づく行動選択に重要な神経回路を明らかにすることができました。本研究のデザインを用いることで、予測的な行動を行う際、様々な脳領域がどのように貢献しているのか、今後明らかにできると考えています。」

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1073/pnas.2206067119

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/282827

【書誌情報】
Kosuke Hamaguchi, Hiromi Takahashi-Aoki, Dai Watanabe (2022). Prospective and retrospective values integrated in frontal cortex drive predictive choice. Proceedings of the National Academy of Sciences, 119(48):e2206067119.