発光式円偏光コンバータの開発に成功―円偏光純度と明るさを両立させる新たな円偏光生成技術として期待―

ターゲット
公開日

 岡﨑豊 エネルギー科学研究科助教、木村美咲 同修士課程学生(研究当時)、佐川尚 同教授らの研究グループは、円偏光純度と明るさを両立させる「発光式円偏光コンバータ」の作製に成功しました。円偏光とは、光強度(明るさ)や波長(色)に加えて偏光情報(右 or 左巻き)をもつ特徴的な光です。近年は、植物の成長速度や太陽電池の変換効率に対する円偏光照射効果が報告されており、非偏光(太陽光など)から円偏光を生成する技術に関心が集まっています。本研究グループは、偏光度と明るさの両立が原理的に可能である直線偏光発光(LPL)に着目し、LPLと位相制御を組み合わせた「発光式円偏光コンバータ」を作製することで、既存の方法では困難とされてきた円偏光純度と明るさの両立に成功しました。また、LPLフィルムと位相差フィルムの貼合せ角度の調節により、円偏光純度・明るさ・スペクトル形状(色)を変えることなく、偏光(左 or 右)のみを変更できることを実証しました。さらに、LPLフィルムの多層化により、既存の円偏光フィルターでは不可能であった、発光機構(光の足し算)を活かした光情報の多重化にも成功しました。

 本研究成果は、2022年12月16日に、国際学術誌「Journal of Materials Chemistry C」にオンライン掲載されました。

文章を入れてください
© Journal of Materials Chemistry C
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1039/d2tc03955a

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/278859

【書誌情報】
Yutaka Okazaki, Misaki Kimura, Kan Hachiya, Takashi Sagawa (2023). Luminescence-based circular polarization convertors: polarization conversion of linearly polarized photoluminescence from one-dimensionally aligned quantum rods using retardation films. Journal of Materials Chemistry C, 11(3), 935-942.