成果主義の運用は日米で異なる―成果主義の背後の心理過程の日米差の実証―

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 成果主義的制度は、生産性向上・国際競争力強化を期待されて日本の企業でも導入が進められてきました。欧米から輸入された成果主義的制度は世界中のどこでも日本でも同じように運用可能で機能することを前提に考えられています。しかし、成果主義的制度における各個人の貢献の評価、給与の配分や昇進の決定は、日本の文化的慣習や価値観の影響を強く受けて、米国などでの運用や機能とは異なった在り方となると考えられます。

 内田あや 人間・環境学研究科修士課程学生(現:The University of Melbourne)、中山真孝 人と社会の未来研究院特定講師、内田由紀子 同教授の研究グループは、日本人と欧州系米国人を対象に調査を行い、日本人は米国人と比べて、中心人物たちの貢献度を低く、状況的要因の影響や上層部の報酬を大きく見積もることを実証しました。本研究成果は、成果主義的制度の導入や設計において、運用する人間の心理過程やその背後にある文化的慣習や価値観を考慮する必要性を示しています。

 本研究成果は、2022年11月17日に、国際学術誌「Asian Journal of Social Psychology」にオンライン掲載されました。

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研究者のコメント

「研究者もお給料をいただいて働く身ですが、米国に留学した時に日本では米国よりも人(研究者)に対するお金が使われないという印象を受けました。本当にそうか、その背後の心理の文化差は何かを考えようと思ったのが本研究のきっかけです。」(中山真孝)

研究者情報
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1111/ajsp.12560

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/284677

【書誌情報】
Aya Uchida, Masataka Nakayama, Yukiko Uchida (2023). Cultural psychological processes underlying workplace remuneration in Japanese and European American contexts. Asian Journal of Social Psychology, 26(3), 318-332.