複合アニオン材料の構造決定における実験と計算の融合的アプローチ

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 加藤大地 工学研究科助教、野田泰斗 理学研究科助教、前園涼 北陸先端科学技術大学院大学教授らは、同大学が所有するスーパーコンピュータを用いたシミュレーション技術を駆使して、近畿大学らの実験グループおよび米国オークリッジ国立研究所の市場友宏 博士らと共同して、無機化合物の酸素の一部がフッ素に置き換わった複合アニオン材料を対象に、元素置換位置を特定することに成功しました。様々な元素置換位置を持つ結晶構造モデルに対して第一原理計算を用いてシミュレーションを行い、各エネルギー値を比較すると「置換された原子が結晶中のどの位置にいると最も居心地がよいか」を予測することができます。このとき、最も低いエネルギー値を与える置換位置が、置換原子にとって最も居心地のよい位置となります。このようにして置換位置を決定した結晶構造モデルでさらにシミュレーションを行うと、各種実験で観測されるデータと矛盾のない結果が得られました。

 本成果は、固体材料に原子レベルの置換を行い、その特性をチューニングする材料開発分野に強力な解析手段を提供することが可能となります。

 本研究成果は、2022年9月23日に、科学雑誌「Dalton Transactions」のオンライン版に掲載されました。

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研究者情報
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1039/D2DT00839D

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/276995

【書誌情報】
Kengo Oka, Tom Ichibha, Daichi Kato, Yasuto Noda, Yusuke Tominaga, Kosei Yamada, Mitsunobu Iwasaki, Naoki Noma, Kenta Hongo, Ryo Maezono, Fernando A. Reboredo (2022). Anionic ordering in Pb₂Ti₄O₉F₂ revisited by nuclear magnetic resonance and density functional theory. Dalton Transactions, 51(40), 15361-15369.