新型コロナウイルス世界最速検出装置の小型化・低コスト化-汎用的な感染症診断装置としての実用化に期待-

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 野田岳志 医生物学研究所教授、渡邉力也 理化学研究所主任研究員、安藤潤 同研究員、飯田龍也 同テクニカルスタッフⅠ、西増弘志 東京大学教授、武内寛明 東京医科歯科大学准教授らの共同研究グループは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)由来のウイルスRNAを「1分子」レベルで識別し、世界最速で検出できる安価な小型装置を開発することに成功しました。

 本研究成果は、臨床現場即時検査(POCT)に対応した、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を含む次世代の感染症診断法の核心技術として実用化されるものと期待できます。

 今回、共同研究グループは、2022年度に開発した世界最速のSARS-CoV-2全自動検出装置「opn-SATORI装置」の検出部を大幅に改善した安価な小型装置「COWFISH」を開発しました。COWFISHは、従来のopn-SATORI装置と比較して、設置面積比で約5分の1以下まで小型化、構成部品の総額を120万円程度と約30分の1以下まで低コスト化することに成功しました。また、テレセントリックレンズ[1]と市販の一眼レフカメラを用いることで、大面積の視野を高精細に撮像することが可能となるとともに、最短3分の迅速検出を実現しました。一方、SARS-CoV-2の検出感度は、opn-SATORI装置の検出部である共焦点顕微鏡とほぼ同等であり、また、臨床検体を用いた実証実験では、陽性判定において95%の正解率を達成しました。

 本研究成果は、2022年10月18日に、科学雑誌「Lab on a Chip」にオンライン掲載されました。

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COWFISHの外観

 

研究者情報
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1039/D2LC00741J

【書誌事項】
Tatsuya Iida, Jun Ando, Hajime Shinoda, Asami Makino, Mami Yoshimura, Kazue Murai, Makiko Mori, Hiroaki Takeuchi, Takeshi Noda, Hiroshi Nishimasu, Rikiya Watanabe (2023). Compact wide-field femtoliter-chamber imaging system for high-speed and accurate digital bioanalysis. Lab on a Chip, 23(4), 684-691.

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