CO2資源化酵素の電子移動メカニズムを解明―生体触媒による常温常圧中性でのCO2貯留・資源化技術開発に新たな一歩―

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 宋和慶盛 農学研究科助教、吉川達偲 同修士課程学生(研究当時)、鈴木洋平 同博士課程学生、北隅優希 同助教、白井理 同教授、加納健司 産官学連携本部特任教授、牧野文信 大阪大学招へい准教授、宮田知子 同特任准教授、難波啓一 同特任教授、田中秀明 同准教授らの研究グループは、CO2とギ酸の酸化還元反応を可逆的に触媒するMethylorubrum extorquens AM1という植物葉上共生細菌由来のギ酸脱水素酵素(FoDH1)の電子移動メカニズムを解明しました。

 FoDH1は、常温常圧中性においてCO2の還元を触媒できる酸素耐性型酵素で、世界的に重要な課題である温室効果ガス(主にCO2)を削減するCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storageの略、回収したCO2を貯留や資源化する技術)の切り札として期待されています。本酵素は、電極との直接的な電子移動ができるユニークな特徴を有しており、高効率な触媒反応を実現できます。今回、クライオ電子顕微鏡観察や単粒子像解析を用いた構造生物学的手法によって、2.2 Å(オングストローム)の高い分解能で世界に先駆けて構造解析に成功しました。さらに、生物電気化学的手法によって、酵素内に複数の電子移動経路や電極反応部位を発見しました。今回の研究成果は、生体触媒を用いた新たなCO2資源化技術の基盤研究として貢献することが期待されます。

 本研究成果は、2022年4月29日に、国際学術誌「Chemical Communications」にオンライン掲載されました。また、本誌のOutside Front Cover(表表紙)を飾ることになりました。

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本研究で解明したギ酸脱水素酵素FoDH1の立体構造と複数の電子移動経路
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1039/d2cc01541b

【書誌情報】
Tatsushi Yoshikawa, Fumiaki Makino, Tomoko Miyata, Yohei Suzuki, Hideaki Tanaka, Keiichi Namba, Kenji Kano, Keisei Sowa, Yuki Kitazumi, Osamu Shirai (2022). Multiple electron transfer pathways of tungsten-containing formate dehydrogenase in direct electron transfer-type bioelectrocatalysis. Chemical Communications.