新粒子探索のための量子センサー―原子スペクトルの精密分光から基礎物理法則に迫る―

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 現在の素粒子物理学では標準模型と呼ばれる枠組みが成功を収めていますが、様々な未解決問題を抱えており、これを超える新物理が存在します。最近、キング関係式と呼ばれる同位体シフト(同位体間でわずかに異なる電子遷移の共鳴周波数差)間に成り立つ関係式の線形性を検証することで、電子・中性子間の相互作用を媒介する新粒子を探索する方法が提案されました。これをきっかけに、同位体シフト精密測定が世界中で盛んに行われています。

 小野滉貴 理学研究科特定助教、高須洋介 同准教授、高橋義朗 同教授、日亜化学工業株式会社 高野哲至 (現:同特定准教授)、田中 実 大阪大学助教、山本康裕 National Center for Theoretical Sciences(台湾) 博士研究員らの研究グループは、イッテルビウム原子の狭線幅光学遷移(時計遷移、波長578 nm)の同位体シフトを数Hzの精度で測定しました。そして、一般化キング関係式の線形性を世界で初めて検証し、新粒子が存在する場合に考えられる中性子・電子との結合の強さの上限を決定することに成功しました。

 本研究成果は、2022年5月10日に、国際学術誌「Physical Review X」にオンライン掲載されました。

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本研究の概念図。原子は陽子(p+)、電子(e-)、中性子(n)で構成されている。電子・中性子間に相互作用を媒介する新粒子(φ)が存在するならば、原子スペクトルはその影響によって違いが生じると期待される。本研究では光格子と呼ばれる光の器に原子を閉じ込めて同位体シフトの精密測定を行った。
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1103/PhysRevX.12.021033

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/270000

【書誌情報】
Koki Ono, Yugo Saito, Taiki Ishiyama, Toshiya Higomoto, Tetsushi Takano, Yosuke Takasu, Yasuhiro Yamamoto, Minoru Tanaka, Yoshiro Takahashi (2022). Observation of Nonlinearity of Generalized King Plot in the Search for New Boson. Physical Review X, 12(2):021033.