現状維持バイアスの重い腰を上げさせる!東日本大震災後の変動型電気料金に関する横浜市でのフィールド実験

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 依田高典 経済学研究科教授、伊藤公一朗 シカゴ大学准教授、田中誠 政策研究大学院大学教授らの国際共同研究グループは、2011年3月11日に起きた東日本大震災後の2014年度の夏と冬に、神奈川県横浜市において、任意変動型電気料金で加入率や節電効果にどのような違いがあるのかフィールド実験を行い、人間の心理に注目しつつ、行動経済学的に検証しました。

 変動型電気料金は、約2割の節電効果が見込まれ、かつ、月々の電気代も安くなることが知られていますが、世帯加入率は2割に留まります。人間には、分かっていても変えられない「現状維持バイアス」が備わっているからです。そこで、私たちは、加入率を高め、節電効果を維持するために、個々の世帯に最適なリベート(報酬金)を設計しました。私たちの政策によって、従来の社会厚生を70%以上高めることが出来ます。

 このような個別に最適された政策のことを「ポリシー・ターゲティング」と呼びます。人間の現状維持バイアスを克服し、望ましい行動変容を実現する方策として、エネルギー環境以外の分野でも活用が期待されます。

 本研究成果は、経済学分野のトップ・ジャーナルである経済学会機関誌「American Economic Review」のオンライン版に掲載されます。

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図:本研究成果の概要図。変動型電気料金は、社会にも家計にも優しいが人気がないことが課題。東日本大震災後に横浜市でフィールド実験を行った結果、最適な報酬金を設計すると、各家庭の自己選択のみに頼る場合に比べて、節電効果を倍増させられる可能性が示唆された。
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