腎がんの「ゲノム医療」に貢献 -日本人での原因遺伝子・発症リスク・臨床的特徴の大規模解析-

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 小川修 医学研究科教授(現・名誉教授)、関根悠哉 理化学研究所大学院生リサーチ・アソシエイト、桃沢幸秀 同チームリーダー、村上善則 東京大学教授、松田浩一 同教授、羽渕友則 秋田大学教授、吉田輝彦 国立がん研究センター部門長、菅野康吉 佐々木研究所附属杏雲堂病院科長らの研究グループは、腎がん患者と非がん患者対照群を用いた症例対照研究で世界最大規模となる7,000人以上のゲノムDNA解析を行い、日本人の遺伝性腎がんの原因遺伝子・発症リスク・臨床的特徴を明らかにしました。

 腎がん患者の約5%は、一つの病的バリアントが発症の原因と考えられています。しかし、これまでに腎がんの大規模なゲノム解析データは少なく、ゲノム情報を用いた医療の妨げになっていました。

 今回、本研究グループは、腎がん関連遺伝子を含む計40個の遺伝性腫瘍に関連する遺伝子について、京都大学、バイオバンク・ジャパン、秋田大学が収集した腎がん患者1,532人および対照群5,996人のDNAを理研で開発したゲノム解析手法を用いて解析し、118個の病的バリアントを同定しました。腎がんの病理組織型の一つである淡明細胞型腎細胞がん患者では4.1%の患者が病的バリアントを保有しており、特にTP53遺伝子ががんの発症に強く関わり、東アジア人に特徴的な病的バリアントが特に影響を与えていることがわかりました。また、非淡明細胞型腎細胞がん患者では5.6%の患者が病的バリアントを保有しており、特にBAP1遺伝子、FH遺伝子が発症に強く関わることや、若く発症する患者に病的バリアントが多い臨床的特徴も明らかになりました。

 本研究成果は、日本人の腎がん患者それぞれに適した治療を行う「ゲノム医療」に貢献すると期待できます。

 本研究成果は、2022年1月5日に、国際学術誌「Human Molecular Genetics」のオンライン版に掲載されました。

胃がんのゲノム医療
図:胃がんのゲノム医療
研究者情報
研究者名
小川 修