精密測定により素粒子ニュートリノの謎の解明を目指すNINJA実験の物理解析が開始

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中家剛 理学研究科教授、 平本綾美 同博士課程学生、福田努 名古屋大学YLC特任助教、鈴木陽介 同博士課程学生、南野彰宏 横浜国立大学准教授、三角尚治 日本大学准教授、小川了 東邦大学教授、早戸良成 東京大学准教授、横山将志 同教授、 青木茂樹 神戸大学教授らの研究グループは、茨城県東海村の大強度陽子加速器施設J-PARCのニュートリノ実験施設にて、素粒子ニュートリノの謎の解明を目指してニュートリノと物質の反応を高精度測定するNINJA実験の物理解析を開始し、ニュートリノ反応の検出に成功しました。

本研究では、世界最高の空間分解能を誇る素粒子測定器である原子核乾板を用いて不明な点が多いSub-GeVエネルギー領域のニュートリノ-原子核反応の高精度測定を実施することで、現在の宇宙で反物質が消えてしまった謎の解明や素粒子の標準理論に現れない新しいニュートリノの存在の検証を目指します。今回、NINJA実験を構成する大型実験装置群が有機的に機能し、ニュートリノ-原子核反応の検出法が確立しました。さらに、他の実験では測定が困難である水標的のニュートリノ反応から生成する低エネルギー陽子の測定能力を実証しました。今後さらなるデータ収集及びデータ解析を進めることで高精度でのニュートリノ測定が期待されます。

本研究成果は、2020年9月14日~17日に開催された日本物理学会秋季大会にて発表されました。また、陽子測定能力を実証した成果が、10月15日に、国際学術誌「Physical Review D」に掲載されました。

図:実験装置の全体像

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1103/PhysRevD.102.072006

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/255617

A. Hiramoto et al. (2020). First measurement of ν¯μ and νμ charged-current inclusive interactions on water using a nuclear emulsion detector. Physical Review D, 102(7):072006.