アルテピリンC合成酵素の発見とその生産 -雑草の遺伝子から生理活性物質の生産へ-

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矢崎一史 生存圏研究所教授、棟方涼介 同博士課程学生(現・仏国・ロレーヌ大学研究員)、アラン・ヘーン ロレーヌ大学教授らの研究グループは、国産の野生植物カワラヨモギから、アルテピリンCを作る酵素遺伝子を見出すことに成功しました。

このユニークな酵素は、単独でフェール基質の p -クマル酸に2つのプレニル基を導入することのできる初めての植物酵素であることが明らかとなりました。実際に本遺伝子を使い、ブラジル産植物の主成分であるアルテピリンCを酵母で生産させることに成功しました。

脱化石資源社会における人間の健康維持や生活の質の維持向上にとって、植物の生産する多様な二次代謝産物は、中心的な役割を果たすものとして大きな期待されています。 特に、抗菌・抗酸化活性等を持つ多様な化合物のグループであるプレニル化フェノールのうち、ブラジル産植物に含まれるアルテピリンCは、肥満やメタボリックシンドロームなどの改善効果が期待できるとして注目されています。

本研究成果は、2019年10月18日に、国際学術誌「Communications Biology」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1038/s42003-019-0630-0

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/244385

Ryosuke Munakata, Tomoya Takemura, Kanade Tatsumi, Eiko Moriyoshi, Koki Yanagihara, Akifumi Sugiyama, Hideyuki Suzuki, Hikaru Seki, Toshiya Muranaka, Noriaki Kawano, Kayo Yoshimatsu, Nobuo Kawahara, Takao Yamaura, Jérémy Grosjean, Frédéric Bourgaud, Alain Hehn and Kazufumi Yazaki (2019). Isolation of Artemisia capillaris membrane-bound di-prenyltransferase for phenylpropanoids and redesign of artepillin C in yeast. Communications Biology, 2:384.