幸福の脳活動を解明 -大脳右楔前部の安静時活動が低いほど主観的幸福得点が高い-

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佐藤弥 こころの未来研究センター特定准教授、河内山隆紀 ATR脳活動イメージングセンタ研究員らの研究グループは、 主観的幸福と対応する脳活動および脳内ネットワークを明らかにしました。

本研究グループは、成人51人を対象として幸福度を質問紙で測定し、脳活動をfMRIで計測しました。その結果、右楔前部の安静時活動が低いほど、主観的幸福得点が高いことが示されました。つまり、より強く幸福を感じる人は、この領域の活動が低いことを意味します。先行研究から、楔前部の活動は否定的な自己意識や心の迷いに関係することが示されており、こうしたはたらきが弱いことが幸福感の基盤となっている可能性が示唆されます。また、右楔前部と感情処理に関わる右扁桃体の機能的結合が強いほど、主観的幸福得点が高いことも示されました。感情を適切に統合することで幸福感が生まれる可能性が示唆されます。

本研究成果は、今後、瞑想が楔前部の活動を低下させるといった知見と併せることで、科学的データに裏打ちされた幸福増進プログラムを作るといった展開が期待されます。

本研究成果は、2019年8月20日に、国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。

図:左・中:脳活動の結果、右:機能統合の結果

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41598-019-48510-9

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/243762

Wataru Sato, Takanori Kochiyama, Shota Uono, Reiko Sawada, Yasutaka Kubota, Sayaka Yoshimura & Motomi Toichi (2019). Resting-state neural activity and connectivity associated with subjective happiness. Scientific Reports, 9:12098.