植物の枝分かれ制御ホルモン「ストリゴラクトン」の受容メカニズムを解明 -受容体タンパクがストリゴラクトンの受容と不活性化を担うことを発見-

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山口信次郎 化学研究所教授(兼・東北大学客員教授)、安井令 東北大学博士課程学生、瀬戸義哉 明治大学専任講師らの研究グループは、植物の枝分かれを適切に制御するホルモン「ストリゴラクトン」の受容メカニズムを解明することに成功しました。

これまでに、ストリゴラクトンが植物ホルモンとして働く際には、DWARF14(以下D14)タンパク質が受容体として働くことが分かっていました。しかし、D14によるストリゴラクトンの分解と、ホルモン信号伝達の関係性は十分に解明されていませんでした。

本研究グループは、D14とストリゴラクトンの詳細な相互作用解析や変異型D14を利用した研究により、「D14はストリゴラクトン分子そのものを認識して信号を伝達し、その後ストリゴラクトンを分解して不活性化する」ことを突き止めました。

本研究成果は、ストリゴラクトンの受容メカニズムに基づいた、新たな枝分かれ制御法の開発などにつながることが期待されます。枝分かれは最終的な花や種子の数と質に影響を与えることから、枝分かれの制御を通じて、作物の増収やバイオマスの増産などが期待されます。

本研究成果は、2019年1月14日に、国際学術誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究で新たに提唱されたD14によるストリゴラクトン信号伝達メカニズムのモデル図(A)と、これまでに提唱されていたメカニズムのモデル図(B)。

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41467-018-08124-7

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/236051

Yoshiya Seto, Rei Yasui, Hiromu Kameoka, Muluneh Tamiru, Mengmeng Cao, Ryohei Terauchi, Akane Sakurada, Rena Hirano, Takaya Kisugi, Atsushi Hanada, Mikihisa Umehara, Eunjoo Seo, Kohki Akiyama, Jason Burke, Noriko Takeda-Kamiya, Weiqiang Li, Yoshinori Hirano, Toshio Hakoshima, Kiyoshi Mashiguchi, Joseph P. Noel, Junko Kyozuka & Shinjiro Yamaguchi (2019). Strigolactone perception and deactivation by a hydrolase receptor DWARF14. Nature Communications, 10:191.