萬代真理恵 医学研究科教務補佐員、中山健夫 同教授、高橋由光 同准教授、家曽美里 同博士課程学生らの研究グループは、乳幼児を育児中の母親にアンケート調査を行った結果、孤独感には、SNSでのつながりや、家族、友人との社会的つながり、経済的状況、対人関係のパターン、気分不安障害の可能性の有無が関連していることがわかりました。
本研究成果は、2018年8月16日に英国の国際学術誌「BMC Women’s Health」のオンライン版に掲載されました。
研究者からのコメント
私は、もともと研究とは関わりなく過ごしてきたのですが、若いお母さんが、インターネットの普及でコミュニケーションの手段も多様化し、情報も多くなっているにもかかわらず、20年前の自分たちと同じく孤独感を抱えて子育てをしているのはなぜだろうか、と思ったことが、京大の医学研究科に社会人入学しこの研究を行ったきっかけです。
「ワンオペ育児」のつらさは物理的な孤立だけではありません。今回、乳幼児を育児中のお母さんたちの孤独感に焦点を当て、孤独感に関連する要因を明らかにできたことで、支援のきっかけになって、少しでも育児中のお母さんたちの力になれればいいなと思います。
概要
「ワンオペ育児」に象徴されるように、日本では、孤独な育児が社会問題となっています。また、育児中の母親を取りまく社会環境は、インターネット、SNSの普及によって変化しています。
本研究グループは、2014年に滋賀県長浜市で乳幼児健診を受診した0歳から3歳児の母親763名にアンケート調査を行い、孤独感に関連する要因を調べました。その結果、SNS使用と育児中のお母さんの孤独感との関連性などが見出されました。
本研究は、乳幼児を育児中の母親の孤独感について、対人関係パターンや、携帯電話などの利用、SNSを含めた社会的つながりとの関連を調べた初めての研究で、今後、SNSの利用を考慮に入れた、母親への育児支援に役立つ基礎資料となることが期待できます。
詳しい研究内容について
書誌情報
【DOI】
https://doi.org/10.1186/s12905-018-0625-x
【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/233963
Marie Mandai, Misato Kaso, Yoshimitsu Takahashi, Takeo Nakayama (2018). Loneliness among mothers raising children under the age of 3 years and predictors with special reference to the use of SNS: a community-based cross-sectional study. BMC Women's Health, 18:131.
- 京都新聞(8月16日夕刊 8面)に掲載されました。