積雪時の雪下ろしの判断に役立つ 「雪おろシグナル」(積雪重量分布情報)が新潟県で活用開始へ

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伊豫部勉 工学研究科特定准教授、平島寛行 国立研究開発法人防災科学技術研究所主任研究員、河島克久 新潟大学教授らの研究グループは、積雪荷重計算システムを開発しました。このシステムを用いて推定される積雪重量分布情報を「雪おろシグナル」と命名し、2018年1月9日午後1時より、新潟県の協力を得て活用を開始しました。本研究成果により、積雪の高さだけではわからない積雪荷重を知ることができるため、家屋等の建造物の倒壊を防ぐ雪下ろし作業のタイミングの判断に役立ちます。

研究者からのコメント

これらの取り組みは、共同研究で行ってきた積雪重量分布推定手法の開発の成果が、雪国の安全な生活の向上のために実装される初めての事例となります。今後、これを全国の降雪地域で活用することを目指していきます。

概要

雪氷災害は毎年100名前後の死者を出しており、そのうち屋根雪処理中の滑落等、除雪中の事故は半数以上にのぼります。また、過疎高齢化が進行する中山間地域では、人手不足のため雪下ろしが困難になり、雪の重みによる空き家の倒壊が後を絶ちません。

防災科学技術研究所では、スイスで開発された積雪変質モデル(SNOWPACK)を改良、応用し、複数の機関で観測されている気象データや積雪深のデータを解析して積雪の重量を計算するシステムの開発を行なっています。このシステムを活用して、雪下ろし作業のタイミングを適切に判断することにより、雪氷災害を軽減することを目指しています。また本学と新潟大学では、全国の積雪量を把握するために、Web上で公開されている気象庁、自治体、国土交通省、研究機関等の積雪深の情報を収集して分布図として示す準リアルタイム積雪分布監視システムを開発・運用してきました。

本研究グループは、同システムで収集された積雪深の情報とSNOWPACKを組み合わせて、新潟県内で観測されている積雪深から屋根に積もっている積雪の重量を推定する積雪荷重計算システムを共同で開発しました。積雪重量情報の屋根雪対策への利活用に向けて、積雪荷重計算システムを用いて推定される積雪重量分布情報を「雪おろシグナル」と命名し新潟県で活用を開始しました。「雪おろシグナル」は地理院地図上に分布図として表示されるほか、積雪荷重計算サイトにおいて、特定の地域における現在の積雪量や雪下ろしを実施した日を指定することで、それ以降に堆積した雪の量から現在の積雪重量を知ることが可能となります。

図:「雪おろシグナル」積雪重量分布情報

詳しい研究内容について

関連リンク

  • 産経新聞(1月10日)、日本経済新聞(1月10日)、読売新聞(1月10日)、新潟日報(1月10日)および日刊建設工業新聞(1月10日 6面)に掲載されました。