国際幹細胞データガイドライン「MIACARM」の開発

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公開日

藤渕航 iPS細胞研究所(CiRA=サイラ)教授、桜井都衣 同研究員、Andreas Kurtz シャリテ医科大学教授、らの研究グループは、幹細胞データの項目ガイドライン「MIACARM」を開発しました。
本研究成果は2016年7月13日に「Stem Cells Translational Medicine」で公開されました。

研究者からのコメント

左から藤渕教授、 Kurtz教授、桜井研究員

本ガイドラインは、世界中に存在する幹細胞研究の膨大な知識やデータを活用するため、日本のCiRAを中心として、ドイツのシャリテ医科大学や、アメリカのRUCDR Infinite Biologics、イギリスのUK Stem Cell Bankといった主要な幹細胞バンク関係者が参加して開発したもので、事実上の国際標準となると考えられます。このMIACARMを他の幹細胞バンクでも利用を促すことで、再生医療の実現化や難病の治療薬の開発をさらに促進することが期待されます。

本研究成果のポイント

  • 幹細胞データベースに保存するべき最小情報のガイドラインを開発した。
  • 細胞の名称から曖昧性(同名異種・異名同種など)を排除するために細胞コードを導入した。
  • 日本を中心とした国際協力の元で、世界の主要な細胞バンクが開発に参加しており、本ガイドラインが事実上の標準(デファクトスタンダード)となると期待される

概要

世界中の企業や研究所で幹細胞をはじめとした再生医療の研究が進められています。またそうした研究に使う細胞を保存する細胞バンクも世界に20以上存在しています。

しかし、収集するデータについて統一されたフォーマットがないために、バンク間での比較が困難なこともあり、保存された細胞が有効に活用されていませんでした。また、これまで細胞データガイドライン(MIACA)は存在していましたが、幹細胞で利用するためには、ヒト細胞種コードと品質管理の項目が不足していました。

本研究グループは、こうした項目を含めた幹細胞データの項目ガイドライン「MIACARM」を新たに提案しました。MIACARMを用いることで世界中の細胞バンクで相互検索が容易に行えるだけでなく、再生医療の実現化を促進することができると考えられます。

図:細胞コード法による細胞種同定

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】
http://dx.doi.org/10.5966/sctm.2015-0393

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/218478

Kunie Sakurai, Andreas Kurtz, Glyn Stacey, Michael Sheldon, and Wataru Fujibuchi. (2016). First Proposal of Minimum Information About a Cellular Assay for Regenerative Medicine. Stem Cells Translational Medicine, 5.

  • 京都新聞(7月13日 27面)、産経新聞(7月13日 28面)に掲載されました。