野生のゴリラにフルーツを分配する行動を発見

ターゲット
公開日

2014年6月23日

山極寿一 理学研究科教授、井上英治 同助教、坪川桂子 同博士課程学生らの研究グループは、ガボン共和国ムカラバ国立公園で実施中の山極プロジェクトで、野生のゴリラがTreculia africanaというフットボール大の果実を分配しているところを18例観察することに成功しました。しかも、おとな同士の間にも果実の分配が見られました。ゴリラのおとな同士の食物分配、特に果実の分配は新しい発見です。

本研究成果は、国際学術誌「PRIMATES」に掲載される予定です。

研究者からのコメント

左から坪川博士課程学生、山極教授、井上助教

今回、初めてゴリラのおとな同士の食物分配を発見しました。また、交尾と関連した食物分配も観察できたことから、チンパンジーと似たような社会的機能があることも示唆されます。

さらに、チンパンジーのように口や手から直接食物をとるのではなく、ゴリラは食物をいったん地面に置いて相手に取らせます。こういった違いには両種の社会の特徴が反映されており、人類の食物をめぐる社会進化を考えるうえで大きな学術的意義があると考えます。

概要

人類に近縁な類人猿のうち、果実食のオランウータンやチンパンジーには食物を分配する行動が知られていますが、葉や茎などを食べるゴリラにはほとんど報告されていませんでした。これは果実の少ない環境に生息するマウンテンゴリラしか観察の対象になってこなかったことに起因しています。

今回、10年以上にわたる本学の努力により、果実の多いガボンの低地熱帯雨林でニシローランドゴリラの観察が可能になりました。おとなのゴリラに果実の分配が観察されたので、類人猿のすべてで希少で栄養価の高い食物が分配されることが判明しました。また、交尾と関連した食物分配が起こったことも観察できました。

詳しい研究内容について

野生のゴリラにフルーツを分配する行動を発見

書誌情報

[DOI] http://dx.doi.org/10.1007/s10329-014-0433-3

Juichi Yamagiwa, Keiko Tsubokawa, Eiji Inoue, Chieko Ando
"Sharing fruit of Treculia africana among western gorillas in the Moukalaba-Doudou National Park, Gabon: Preliminary report"
Primates Published online: 25 June 2014

掲載情報

  • 朝日新聞(8月28日 18面)、京都新聞(6月24日 26面)、中日新聞(6月25日 3面)、日本経済新聞(6月24日夕刊 16面)および毎日新聞(6月24日 2面)に掲載されました。