公開講座京大知の森(令和8年度春季)を開催しました

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 公開講座 京大知の森(令和8年度春季)を、2026年4月19日に百周年時計台記念館にて開催しました。

 京大知の森は、京都大学の知を広く学内外の人々に向けて発信するため開催している公開講座です。多様な研究分野をもつ京都大学の「知の森」に、研究者の手引きのもと、講演や討論を通して分け入り、研究の面白さや意義をお伝えすることを目的としています。

 第6回となる今回は、「AI時代の「知性」と「衝動」 -京都大学でどう学ぶか」を全体テーマに、AIが瞬時に答えを出す時代において、効率や他者の正解に依存せず、内発的な原動力としての好奇心や「問い」の磨き方を問い直す内容として開催しました。本学卒業生であり若手哲学者の谷川嘉浩 京都市立芸術大学講師(人間・環境学研究科・2020年修了)および、塩瀬隆之 総合博物館教授/理事補(広報担当)の2名を講師として、講演および対談を実施しました。

 谷川講師は、現代社会で強調される主体性やモチベーションが、実際は周囲の期待や一元的な指標に沿うための概念になっていると指摘し、これに対し、自覚的な意志に先立つ深い欲望としての「衝動」に焦点を当て講演しました。そのうえで、社会で求められる「やりたいこと」を自己の内面で探るのではなく、外部との相互作用の中で生じる小さな衝動を言語化し、環境を変えることで自己を変容させていくことの重要性を紹介しました。続いて、塩瀬教授は、大阪・関西万博日本館や本学のノーベル賞受賞者の研究展示を例に、生成AIとの付き合い方や、好奇心と卓越した研究の例について講演しました。また、不可能と思われた壁を超える知が生まれた背景には、個人の資質だけでなくその探究を加速させる「場」の存在があると指摘し、こうした知を育む本学の「自由の学風」や環境のあり方を紹介しました。

 講演後の対談では、オンライン質問ツールやイラストのライブ描写によるグラフィックレコーディングを交えた進行のもと、参加者からの質問やそれに対する講師の対話が展開されました。現代人が答えを急ぐ短期的な問いに捉われる現状を分析しつつ、探究や、大学と「独学」のあり方などについて、各講師の視点から様々な議論が行われました。

 今回は、申し込み多数により会場を拡大し、抽選の結果、546名の参加がありました。参加者からは、「現行のキャリア教育への違和感がよく言語化されていた」、「純粋に分からないことを考える、自分の世界が広がっていく感覚を思い出した」といった感想が寄せられました。また、中高生や、親子での参加者も多く、「高校生の子にとっても、今の学校教育とは異なる新たな視点を持つきっかけになった。とても有意義な時間だった」とのコメントもあり、世代を超えて探究の本質を問い直す刺激の場となりました。

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講演する谷川講師
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講演する塩瀬教授
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対談・質疑応答の様子
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描画されたグラフィックレコーディングを見る参加者

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本講演内容は、後日、「KyotoU Channel」にて配信します(5月公開予定)。こちらは申し込み不要でどなたでもご覧いただけます。
京大知の森 | KyotoU Channel

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