清水昌 名誉教授が日本学士院賞を受賞しました

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 このたび、清水昌 名誉教授が第114回(令和6年)日本学士院賞を受賞することになりました。日本学士院賞は、学術上特に優れた研究業績に対して贈られるもので、日本の学術賞としては最も権威ある賞です。

清水昌 名誉教授

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清水名誉教授

 清水昌 名誉教授は、昭和43年に京都大学農学部を卒業、同45年に京都大学大学院農学研究科修士課程、同49年に京都大学大学院農学研究科博士課程を修了し、同年に農学博士の学位を取得しました。その後、同50年に京都大学農学部助手、平成元年に京都大学農学部助教授、同4年に京都大学農学部教授、同9年に京都大学大学院農学研究科教授を経て同21年に定年退職され、京都大学名誉教授の称号を授与されました。

 今回の日本学士院賞の研究題目は、「微生物の新規機能の探索と有用物質生産への応用に関する研究」です。清水名誉教授は、多種多様な微生物群の中に有用な新規機能を広く探索する研究を通じて、アラキドン酸を主成分とする油脂を直接生産する微生物を世界で初めて発見し、その工業生産に成功しました。また、その生合成過程の詳細な検討から、稀少かつ多様な高度不飽和脂肪酸の発酵生産に成功し「油脂発酵」という産業分野を確立しました。現在、アラキドン酸含有油脂は世界の国々で乳幼児用の粉乳に添加されています。また、パントテン酸生産の工業原料中間体を光学分割する微生物反応を発見し、これまでの化学的手法による光学分割法を用いた製造工程を大幅に簡略化しました。さらにケトン基を光学活性アルコールへと不斉還元する微生物を発見し、その酵素を用いた汎用型の不斉還元システムを構築しました。本法は多様な光学活性アルコールの工業的合成法として世界的に活用されています。清水名誉教授は、探索研究による微生物の新規な機能の発見をもとに学術的な研究を進め、その成果を質の高い社会実装に結びつけて、バイオ産業の発展に大きく貢献してきました。

 なお、清水名誉教授の卓越した業績に対し、平成13年日本化学会化学技術賞および米国油化学会バイオテクノロジー賞、同14年日本ビタミン学会賞、同15年日本農芸化学会賞および有馬啓記念バイオインダストリー協会賞、同20年文部科学大臣表彰科学技術賞および新技術振興渡辺記念会井上春成賞など、多数の賞が授与されています。また、令和4年度文化功労者にも選ばれています。

関連リンク

日本学士院賞授賞の決定について(日本学士院)