「京都de夏の大学トーク」を開催しました。(2016年7月29日)

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「動物から現代社会を考える」をテーマに「京都de夏の大学トーク」を京都大学東一条館 思修館ホールにて開催しました。

これは、大学の教育・研究の成果を広く一般の方々と共有することを目的として、最新の研究成果を書籍の形で社会に発信している京都大学学術出版会や活字文化推進会議との共催により、講演と討論の形で実施したもので、約80名の参加がありました。

前半は、比嘉理麻 沖縄国際大学講師が、「沖縄のブタと人 -産業社会の矛盾をうつす好悪の揺らぎ」と題して、「生きた動物」と「イメージとしての動物」が乖離した現代社会の状況と、社会環境によって人の動物観が容易に変化するという事実に目を向けたことについての講演を行いました。続いて、亀田佳代子 琵琶湖博物館統括学芸員が、「害鳥か益鳥か?- カワウと森と人の関係史」と題して、同じ鳥が害鳥にも益鳥にもなることを例として、野生動物との共存の問題について講演を行いました。

後半は、菅原和孝 京都大学名誉教授が、「狩り狩られる経験のなかで -「人-動物」境界の攪乱」と題して、お互いの生死をかけた濃密な関係の上では、「人/動物」の境界すら揺れ動くとして、ブッシュマンと野生動物との関係の観点から講演を行いました。

講演後は、山極壽一 総長を含めた4人で討論を行いました。山極総長からは講演者に対して、本シンポジウムの本質に迫るような質問として、「野生動物の世界に行けますか」との問いかけがあり、また、本を読むことで、著者の世界を理解し、著者に近づいてほしいとの話がありました。最後に山極総長からは、本では書き著せないことに、このシンポジウムを通して、さらに関心を持っていただきたいとして、これからもこのようなシンポジウムを実施していきたいとの挨拶がありました。

左から、比嘉講師、亀田統括学芸員、菅原名誉教授

討論の様子(左から、山極総長、比嘉講師、亀田統括学芸員、菅原名誉教授)