Science誌の発行者である米国科学振興協会(AAAS)の2016年年次総会(会場ワシントンDC)にて、本学教職員が地震防災についてのシンポジウムを開催しました。これは、公募によって採択されたセッションとしては日本の大学で初めての例です。
「Living with Earthquakes: Causes, Early Warning, and Damage Mitigation」というテーマで、伊藤喜宏 防災研究所准教授と山田真澄 同助教、およびリチャード・アレン カリフォルニア大学バークレー校教授が登壇しました。企画・司会は今羽右左デイヴィッド甫 広報課国際広報室長、モデレーターはジョン・テイバー 大学間地震学研究所連合教育・社会連携室長が務めました。
巨大地震の前兆とも言われる「スロースリップ」の観測を通じた地震予測の可能性について、日本における緊急地震速報の紹介と今後の取り組みについて、アメリカ西海岸における緊急地震速報の導入とアプリ開発について、それぞれ登壇者から紹介があった後、全体討論およびフロアからの質疑応答へと進みました。
会場は、比較的地震が少ないとされるアメリカ東海岸でしたが、聴衆からの関心は高く、会場もほぼ満席となりました。その一方で、フロアからは「緊急地震速報が各人のスマートフォンに一斉に配信されたらパニックになるのでは?」と日本人からみると微笑ましいような質問もあり、地震に対する意識の違いを認識する機会ともなりました。
AAAS年次総会は、いわゆる学会とは異なり、他分野の研究者およびマスコミ・政策立案者との交流にも重きを置いています。今回、多様な分野から集まった1万人以上の参加者に向けて、日本の防災・減災研究の成果を紹介できたことは非常に大きな意義があったと言えます。
日本の緊急地震速報について報告を行う山田助教