中村和弘 学際融合教育研究推進センター准教授が日本学士院学術奨励賞を受賞(2015年1月13日)

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このたび、中村和弘 学際融合教育研究推進センター准教授が日本学士院学術奨励賞を受賞することになりました。

同賞は、優れた研究成果をあげ、今後の活躍が特に期待される若手研究者に対して与えられるもので、日本学術振興会賞を受賞した研究者の中から6名以内が選ばれるものです。

授賞式は平成27年2月に日本学士院で行われる予定です。

以下に、中村准教授の略歴、業績を紹介します。

中村准教授は、平成9年京都大学薬学部を卒業、同14年同大学大学院薬学研究科博士後期課程を修了し、同年博士(薬学)の学位を授与されました。日本学術振興会特別研究員、米国オレゴン健康科学大学博士研究員を経て、平成21年に京都大学 学際融合教育研究推進センター 生命科学系キャリアパス形成ユニット 特定助教に採用され、平成25年に同講師、平成26年に同准教授へ昇任となり、現在にいたります。

今回の受賞は、体温調節を含めた生体の温熱恒常性をつかさどる中枢神経機構の研究の成果が評価されたことによるものです。

人間を含めた恒温動物の体温の調節は、多様な温度環境を生きる上で必須の生体機能です。中村准教授は、生理学と解剖学の解析手法を多面的に駆使し、皮膚で感知した環境温度の情報を脳の体温調節中枢へ伝達する神経経路を発見しました。これは意識の上で温度を感じる仕組みとは異なり、無意識下での体温調節に必要な新規の温度感覚伝達経路です。さらに、温度情報を受けた体温調節中枢が体温維持の生理反応を惹起させる指令を末梢の熱産生器官などへ伝達する神経回路を解明しました。感染や心理ストレスを受けたときには、この神経回路が指令して発熱を惹起させることで生体防御に機能することも証明しました。

生体の恒常性維持を担う脳の基本的な仕組みを解明したこれらの研究は国際的に高い評価を受けており、同准教授は平成26年に米国生理学会から若手研究者最高の賞を受賞しました。今後、肥満や心因性発熱などの病態の克服に向けた医学的に重要な研究へ大きく発展することが期待されることから、今回の受賞の対象となったものです。