平成17年度 経営協議会議事録

平成17年度 経営協議会議事録

第9回 平成18年3月29日(水曜日)開催

議事

  1. 中期目標・中期計画の変更について
  2. 平成18年度国立大学法人年度計画(案)について
  3. 平成18年度教育研究組織の設置・改廃等について
  4. 平成18年度予算編成方針(案)について
  5. 国立大学法人京都大学の組織に関する規程等の一部改正について
  6. 国立大学法人京都大学教職員就業規則等の一部改正について
  7. 現理事の辞職に伴う後任理事候補者の選考について
  8. 総長選考会議学外委員の選出について

議事録

出席者
尾池総長(議長)、石井委員、大南委員、大星委員、北委員、木谷委員、熊谷委員、佐村委員、田村委員、中森委員、東山委員、藤井委員、本間委員、松本(紘)委員、丸山委員、吉川委員、村田委員、吉田委員
欠席者
北城委員、佐和委員、野村委員、八田委員、松本(和)委員、矢澤委員

議事録承認(平成18年1月18日開催分)

議事
  1. 中期目標・中期計画の変更について
    「行政改革の重要方針」(平成17年12月24日閣議決定)を受けて、総人件費改革に伴う中期目標・中期計画の変更について説明があり、了承された。
  2. 平成18年度国立大学法人年度計画(案)について
    平成18年度における国立大学法人京都大学の年度計画(案)について説明があり、了承された。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○京都大学の歴史的、社会的な責務で研究活動が任務として重要であると理解している。研究の倫理基準に即した履行がどのように行われているか、また、どのよ うに執行しているのかの項目も必要でないか。リスク管理あるいは評価、監査等にかかわる問題であると考えられ、そのような項目も必要と思われる。
    ●ご指摘のことは充分理解しており、研究の学内における評価については、研究担当理事を中心に具体的な内容を検討している。例えば、文部科学省等からの多額の研究資金の公募に際し、学内で研究計画を募り、過去の研究成果、これからの目標等を評価したものを申請しており、研究戦略、マネージメントを行う上で、学内における評価は重要であると考えている。
    しかしながら、平成18年度の年度計画は、中期計画を達成するための計画であり、中期計画を策定した段階ではご指摘の項目は含めていないため、年度計画には挙げていないが、学内における評価は重要であると考えており、検討を進めているところである。
    ●ご指摘のことは、本学としても非常に重要と考えている。大学は教育、研究、医療を標榜しているが、京都大学は研究大学としての評価を得ており、研究戦略が外部から厳しい目で見られていることを常に意識している。今までの研究戦略を検証すると、基本的には研究教育は各部局の自主性に委ねてきた。しかしながら、法人化後は、法人大学として大学全体の研究戦略を外部に公表する必要があるため、研究担当理事の下、研究戦略を策定し実行するための研究戦略室を設置 し、若手の教授、助教授の協力を得て、外部資金を獲得するための申請書類等の見直しを図り、大学全体の意思が反映できるように努めている。今後は、学術研 究推進の戦略会議を立ち上げ、学内外の意見を聞きつつ戦略をまとめ上げ、次回の経営協議会でお示したいと考えている。
    ○東工大、東大等では、大学で起こる研究上の不祥事に対しては、学内の倫理規範を整備され対応されている。国立大学法人にあっては重要な問題と考えている。
    ●本学においても重要な問題であると認識している。学術研究戦略の中で、倫理規程さらには学術内容の謙虚さ並びに責任問題等を示したいと考えている。
    また、京都大学の場合は、基礎学術研究を重視してきた伝統があり、自然科学のみならず人文社会科学分野も併せて推進していく姿勢を、明確にしていきたいと考えている
    ○中期目標・中期計画の分類の中で完了とあるが、1年間で完了することもあるのか。
    例えば、「兼業兼職のガイドラインを作成し、教員の社会貢献を円滑化する。」が完了とあるが、「教員の社会貢献を円滑化する」のも完了したのか。目的があって、手段が完了することは理解ができるが、円滑化が完了とは奇異に感じる。
    ●見方にもよるが、ガイドラインを作成し、ルール通りに行えば社会貢献の円滑化が図れることを意図としており、ガイドラインの作成は完了している。実際に円 滑化しているかは評価の問題であると考えており、円滑化していないという評価があれば甘んじて受けたいと思っている。
    ○教育方法の具体的方策で、実践的な外国語能力を高めるための教育方法・教材の改善及び開発とあるが、京都大学において実践的な試みはされているか。
    ●外国語の教育に変化があり、従来は「シェイクスピア」を読むという授業も行っていたが、現在は、学生からの要望もあり、内容的には実践的になってきてい る。学生自らがコンピューターを利用して自学自習で単位を取得することになるが、具体的には、平成15年度「特色ある大学教育支援プログラム」で採択された経費により、学内の専門家が共同で開発したソフト「CALLシステム(コンピューター支援による外国語学習)」を使用して行う教育で、学生の理解度につ いても把握することができ、全国的にも高い評価を得ている。
    ●国際人の養成については、これからの大学教育において非常に重要であると考えている。京都大学ではご説明したような努力を重ねており、それ以外にも、「TIED(タイド)」いわれるプロジェクトを数年前に立ち上げ、リアルタイムで日米間のクラスとクラスをつないだ「ディスタントラーニング」を行ってい る。この授業は学生間で大変好評であり、これを契機に日米間の学生の交流が深まり、年に1回は人の交流も行っている。またこの授業は、UCLAとの間で 行っているが高い評価を得ており、このシステムをさらに進めるため、カリフォルニア大学10校のUCシステムとの連携を計画しているところである。
    今後は、NICTの支援を得てアジアにも拡大していきたいと考えている。
    ○大学の研究の質は国際的にも比較が可能と思われるが、教育の質の評価について伺いたい。
    ●現在、ユネスコが中心となって、国際的な評価基準の作成が検討されていると伺っている。特に、ヨーロッパにおいては、EU内で学生の交流があり、教育レベルに差があると教育に支障を生じることが考えられ、国際的な教育基準の策定が求められている。
    ●大学の教育をどのように評価するかは、非常に難しい問題であると考えている。問題は二つあると認識しており、システムの問題と教員個々の資質の問題である。
    システムの問題は評価の対象となり得ると思うが、教員個人の努力は評判という形で広がっており、外国にも広がっていくという努力が必要であると考えている。先ほどご説明申し上げた「TIDE(タイド)」がこの一例である。
    ○16年度、17年度、18年度の年度計画の項目が283項目あり、評価委員会の評価を受けるために細分化されていると思うが、一方で経費については数字で表す ことができるが、教育・研究の成果は数字で表すことができない。この計画書を拝見すると評価を受けるための形式的なものに思え、過渡的には仕方がないと思 うが、19年度以降は実質的なことになっていくと思う。研究、教育においては部局が中心となっていることから、部局長に責任、権限,人事権等を与え、部局 単位で計画の作成及び研究教育の評価を求めることが可能かどうか伺いたい。
    ●ご指摘の点は、法人化に際し、中期目標・中期計画を策定するにあたり、各大学とも標準的な項目の策定を文部科学省に要望し、策定したものである。また、部 局単位での策定は、現状では不可能である。中期目標・中期計画は大学全体の計画が求められており、京都大学においては策定するにあたり、各部局の中期計画の中から、京都大学全体として取り組む項目を抽出し、文部科学省へ提出している。しかしながら、文部科学省へ提出する計画以外に、京都大学独自で各部局に年度計画の提出並びに実績評価の報告を求めている。
    なお、年度計画における研究教育については、機械的に評価ができる項目の策定が求められている。
  3. 平成18年度教育研究組織の設置・改廃等について
    平成18年度における教育研究組織の設置・改廃等について説明があり、了承された。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○ユニットは大学院生の定員の変更は伴わないか。また、具体的には大学院生は参画するのか
    ●定員の変更は伴いませんが、工学研究科のナノメディシン融合教育ユニットは大学院生が参画する。例えば、医学研究科の学生がここで受けた授業の単位については、医学研究科の単位として認めることになる。
    今後、このユニットが有効に活用できることになれば、別の研究科の立ち上げの構想にもなりうると考えているところである。
    ○アイデアとして、現実的で大変良いユニットであると思う。これがまた、新しい研究科の設置、学部・学科の変化に繋がってくると思われる。
    ○最初は何年間になるのか。また、教員は任期制か。
    ●5年間となる。このユニットの教員については特定有期雇用教員で、任期制となる。
    ○このユニットの終了後の構想はあるか。
    ●終了時に考えることになるが、このユニットが有効に活用できることになれば、発展して新しい研究科を立ち上げることも視野に入れる必要があると考えている。
    ○教育のユニットであるため、細切れに切ることはいかがなものか。継続性を重視して行っていただきたい。
    ●ご指摘の点が企画委員会での議論の中心課題となった。大学院生については、母体である医学研究科、工学研究科が責任を持つことになり、科目等履修生の受入については1年ないし2年の期間であるため、このユニットの期間を見ながら受け入れることになる。
  4. 平成18年度予算編成方針(案)について
    平成18年度予算編成方針(案)について説明があり、了承された。
    なお、平成18年度予算配分については、役員会に一任することで、了承された。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○以前の経営協議会において、総長のリーダーシップが議論になったかと思うが、平成18年度の予算編成方針において、総長のリーダーシップを確立するための改善並びに部局長の責任とリーダーシップに基づく部局固有の重点推進事業等に充当し得る制度の確立が明示される等、非常に良くまとめられており、各理事の努力に対し敬意を表したい。
  5. 国立大学法人京都大学の組織に関する規程等の一部改正について
    平成18年4月1日に設置される公共政策連携研究部・教育部及び経営管理研究部・教育部等を設置するため、国立
    学法人京都大学の組織に関する規程等の一部を改正することについて説明があり、了承された。
  6. 国立大学法人京都大学教職員就業規則等の一部改正について
    国立大学法人京都大学教職員就業規則他、以下の規程の一部改正、制定について説明があり、了承された。
    1. 国立大学法人京都大学教職員就業規則の一部改正
    2. 国立大学法人京都大学特定有期雇用教職員就業規則の制定
      1. 国立大学法人京都大学有期雇用教職員就業規則の一部改正
      2. 国立大学法人京都大学有期雇用教職員就業規則別表第一に掲げる有期雇用教職員の日給に関する特例を定める規則の制定
      3. 国立大学法人京都大学時間雇用雇用教職員就業規則の一部改正
      4. 国立大学法人京都大学外国人教師就業規則の一部改正
      5. 国立大学法人京都大学外国人研究員就業規則の一部改正
      6. 国立大学法人京都大学教職員の再雇用に関する規程の一部改正
      7. 国立大学法人京都大学教職員給与規程の一部改正
      8. 国立大学法人京都大学教職員倫理規程の一部改正
      9. 国立大学法人京都大学教職員の勤務時間、休暇等に関する規程の一部改正
      10. 国立大学法人京都大学教職員の育児・介護休暇等に関する規程の一部改正
      11. 国立大学法人京都大学教職員懲戒規程の一部改正
      12. 国立大学法人京都大学教職員退職手当規程の一部改正
      13. 国立大学法人京都大学役員給与規程の一部改正
      14. 国立大学法人京都大学役員退職手当規程の一部改正
      15. 国立大学法人京都大学旅費規程の全部改正
      委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
      ○地域手当について、京都大学では、どの地域でも10%になるのか。
      ●京都市内及び桂、宇治地区並びに半径25㎞以内の地域については10%になるが、それ以外の遠隔地については、その地域の地域手当の適用となる。
      ○隔地の調整はされるのか。
      ●大阪府の熊取地区は3%との適用になっているが、調整の上6%を適用することにしている。
      ○昨今、研究成果の捏造等が報道されているが、京都大学としてはこれまで以上に何か対応を考えておられるか
      ●研究成果の捏造等を規程等で規制することは難しいことであり、監査体制を充実させるとともに、教授会での自治体制を確立させることが重要と考えている。
      ○教職員の倫理規程の一部改正はどういう方向性を示すのか伺いたい。透明性を強調されるのは結構なことと思うが、本省からの通達はあまりにも細かい指示であり、これをそのまま規程に盛り込むのはいかがなものか。
      ●国家公務員に準じて倫理規程を定めているためそのまま準用しており、今回の改正は一部厳しくはなっているが、一方で利害関係者との飲食等の条項が削除されるなど、一部緩和される改正になっている。
  7. 現理事の辞職に伴う後任理事候補者の選考について
    本間理事の平成18年3月31日付け辞職に伴う後任候補者について説明があり、了承された。
  8. 総長選考会議学外委員の選出について
    任期満了に伴う次期総長選考会議学外委員の選出について説明があり、次の6名の委員が選出された。
    (株)エヌ・ティ・ティ・ドコモシニア・アドバイザー 大星 公二委員
    学校法人京都橘学園特別顧問 大南 正瑛委員
    鳩居堂製造株式会社代表取締役 熊谷 純三委員
    京都府副知事 佐村 知子委員
    村田機械株式会社代表取締役会長 村田 純一委員
    奈良県立医科大学長 吉田 修委員
報告事項
  1. 平成16年事業年度利益の処分について
    平成16年事業年度における剰余金について、平成17年12月20日付けで、文部科学大臣の承認があり、目的積立金に計上する旨報告があった。
  2. 事務改革について
    事務組織の再編について説明があった。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●)
    ○大学マネージメント研究会においても検討されているか伺いたい。
    ●総合大学を中心に特に東京大学では基本的な方向性は、京都大学と同じ方向性の改革が進んでおり、大きな組織を有する大学においては、スリムにして効率化を図る検討がなされている。また、広島大学並びに弘前大学においては法人化以前に、改革が行われている。
  3. 寄附講座の設置について
    平成18年4月1日から新たに設置する寄附講座について、報告があった。
  4. 桂キャンパスの寄附建物について
    船井電機(株)代表執行役社長船井哲良氏個人から、桂キャンパスに寄附される建物の概要について、報告があった。
  5. 附属病院の病棟の寄附による建設について
    任天堂(株)相談役 山内 溥氏個人からの寄附により建設する建物について報告があった。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○病棟の名称に個人の名前を付けられるのか。
    ●寄附者の希望される名称を考えている。
  6. 平成17年度監事監査(臨時監査)について
    平成17年度監事監査(臨時監査)の結果について報告があった。
  7. 湯川秀樹博士・朝永振一郎博士生誕百年記念事業について
    湯川秀樹博士・朝永振一郎博士生誕百年記念事業の概要について報告があった。
  8. 次期経営協議会委員について

    任期満了に伴う次期経営協議会委員について、報告があった。

  9. 次期監事について
    任期満了に伴う次期監事について、現監事2名(原、佐伯)を文部科学大臣に推薦した旨の報告があった。
  10. 平成18年度会計監査人の選任について
    平成18年度会計監査人候補者について、新日本監査法人を選任した旨報告があった。

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第8回 平成18年1月18日(水曜日)開催

議事

  1. 中期目標・中期計画の変更について

議事録

出席者
尾池総長(議長)、石井委員、大南委員、大星委員、北委員、北城委員、木谷委員、熊谷委員、佐村委員、佐和委員、田村委員、中森委員、八田委員、東山委員、藤井委員、本間委員、松本(紘)委員、丸山委員、矢澤委員、吉川委員、吉田委員
欠席者
野村委員、松本(和)委員、村田委員

議事録承認(平成17年10月12日開催分)

議事
  1. 中期目標・中期計画の変更について
    平成18年4月当初より新たに研究科等を設置・改組するにあたり、中期目標・中期計画の変更を国立大学法人法第30条及び31条に基づき、年度内に行うことについて説明があり、了承された。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○国際競争力のある大学における科学技術関係の人材要請・確保が求められている中で、工学研究科博士課程など収容定員を減じてまで、公共政策連携研究部・教育部や経営管理研究部(いずれも専門職大学院)を設置する理念を説明願いたい。(それが平成16年の「京都大学における専門職大学院の在り方について」の趣旨にどのように沿うものであるか、また、どのような理念のスクラップアンドビルドに基づくものであるのか、さらに国レベルで見た場合、京都大学らしい国 立大学法人と私学の学校法人とどのような役割分担を見いだすことができるのか。)
    ●昨年の経営協議会においてもご質問があったかと思いますが、あらためて理念について説明いたします。京都大学の基本理念を策定した時点では、専門職大学院の理念は盛り込んでおりませんでしたが、平成14年9月に京都大学の将来像、長期目標を策定したときに、「世界最高水準の研究拠点としての機能を高め、社 会の各分野において指導的な立場に立ち、重要な働きをすることができる人材の育成」を将来像として掲げ、「大学院研究科では、世界最高水準の研究を推進し、国際的に活躍し得るチャレンジングで独創的な研究者の育成に力を尽くすと共に、高度専門職業人の育成にも努める。」を長期目標に掲げております。また、平成3年の大学院審議会の答申においても「大学院研究科では研究者養成を中心にしつつ高度専門職業人の育成も併せ持っている。」と大学院の考え方が示 されており、これらを受けて、京都大学らしい専門職大学院の在り方を厳しく検討し、平成16年12月20日に企画委員会から答申がでております。その中で、ガイドラインとして6点挙げており、
    1. 既存の大学院研究科とは異なる専門職大学院である必要性が明確であること、
    2. 学生・社会のニーズを踏まえたキャ リアプランが明確であること、
    3. 他大学の専門職大学院との違いを有すること、
    4. 学内における他の教育研究組織との関係が明確であること、
    5. 既存の教育研究 組織への影響を確認し、対応が図られていること、
    6. 実践的な教育を充実させるための優秀な実務家教員の確保と効果的な教育課程が構築・提供できること。
    以上のガイドラインに基づき専門職大学院の具体的なプランが各部局から企画委員会に提出され、厳しく審査をした上で、役員会で審議し、概算要求事項としております。今回の二つの専門職大学院の設置は、研究者に近い人材養成が求められている工学研究科において、学生の受け入れ先である企業等において専門職業人の養成に関して、工学研究科に対する期待に変化があり、即戦力的な技術者を養成するだけでなく、契約に関する知識を習得した人材を求める企業が増加しており、また、プロジェクト等、設定された問題を解決する総合的な能力を発揮する人材の育成並びに国際的な視野で、技術とマネージメントが行える人材の育成が求められております。
    このような要請は従来からあり、工学研究科においては、社会人の再教育の観点から夏期のセミナー、国際機関との協力に基づくプロジェクトの実施等、様々な取組を行ってきましたが、これらが高度専門職業人養成のニーズに応えられるか試行錯誤を繰り返しておりますが、現状では全体が見えにくく、このため、経営管理の大学院に参画し、工学研究科のノウハウを提供するとともに、法学、経済の協力を得て社会のニーズに合う高度専門職業人を養成し、社会に供給することは重要であると企画委員会で了承を得ております。
    また公共政策を担う高度専門職業人においても、国際化、情報化等が進展する中で、要求される質は高度化、多様化しており、法学、政治学、経済学、経営学等を有機的に組み合わせた総合的かつ応用的知識を有する人材育成に対する要請が、非常に高まっており、既に東京大学においては設置されております。一方で、法学研究科においては、重点化の時期に国際公共政策専攻を設置して、社会人等を受け入れて再教育に取り組んでまいりましたが、既存の組織では社会の要請に応えるには不十分であると考えおり、設置にあたっては、東京大学等既に設定されている大学院とは異なり、京都大学の独自性をもったユニークな教育ができる組織のプランが法学研究科を中心に作成され、その案が企画委員会において了承されたものであります。これを踏まえて、工学研究科、法学研究科、経済学研究科において従来にもまして連携を強化 し、民間企業、政策官庁等の最前線で活躍している実務家を招へいすることにより、教育プログラムを再構築し教育方法を根本的に改善してこれまでにない高度専門職業人を育成する専門職大学院を設置することとし、概算要求を行ったものであります。
    経営管理専門職大学院では、他の大学院にはない事業の総再生マネージメントを行い、また、既に設置されている工学研究科の専門職大学院では主にマネージメントテクノロジー(MOT)の視点で行われておりますが、本学専門職大学院では、MOTはその一部であると考え、プロジェクトマネージメントを考えております。進学してくる学生は、社会人及び工学部の卒業生並びに修士修了生までを視野に入れて、実務科目として、MOTだけでなく国際プロジェクト、ODA実 務、環境マネージメント、コラボレーションマネージメント等を行い、国際的にも活躍できるMOTを遙かに超えた人材の育成を目標にしております。
    既存の公共政策専門職大学院は、国際人を養成するコース、情報社会に対応したコース、政策企画立案等修了後に、それぞれの特化した分野で活躍できる人材の育成と考えられていますが、本学の専門職大学院では発想を転換し、国際化、情報化、政策企画等を特化するより、専門職大学院で受ける教育としてはすべて全員に必須であると考えており、ゼネラリストしての能力を開発し、横断的な感覚で政策・分析・評価クラスター、行政組織機関公共クラスター、地球共生クラスター等今までと比較して、横に軸を指す型の専門家を育て、それぞれが各自のスペシャリストとしての能力を生かし、企業、官公庁等で活躍できる教育を目指し ております。
    この二つの専門職大学院の設置は、文部科学省の担当課長からも非常に高い評価を得ており、これらの専門的な能力の育成は、京都大学における教育研究の蓄積と経験を生かすことにより可能になるものであり、このような特色ある人材の育成を行っている専門職大学院は、京都大学が初めての試みであると考えております。
    なお、設置に当たっては、工学研究科博士課程の学生定員を振り替えることになりますが、工学研究科の博士後期課程につきましては、必ずしも充足率が100%を満たしていない分野もあり、学生の収容定員を有効に活用し社会の要請に応えるため、それぞれの分野から学生定員を振り替えることにより専門職大学院を設置することになりました。
    ○国立大学法人が新しい専門職大学院を設置するにあたり、新たに教員を採用されると思うが、収入及び支出がどれくらいあり、赤字がいくらになるか積算され、しかしながら赤字を補填してでも必要であると考えておられるが、赤字がいくらになるか計算されたのか伺いたい。
    ●人件費等の経費につきましては、関連部局から学生定員を振り替えると共に、教官定員も振り替えることになり、また、概算要求で実務家教員を採用するための教官定員の純増もほぼ要求どおりに認められました。
    ●人件費等に関しては以上のとおりでありますが、施設並びに人件費以外の経費については、緻密な計算が必要であることは承知しておりますが、充分な積算がされていないのが現状であります。
    ○国立大学法人の20年後、30年後の在り方を研究する講座は、設置されるか伺いたい。
    ●この計画の中には含まれておりません。
    ○中期目標・中期計画はどの程度自由度があるか、例えば評価の場合、エンドポイントを平成21年にすべておく必要があるか伺いたい。
    ●今回の変更は、文部科学省の指示に基づいて、概算要求が通った事項について書き直すもので、あくまで事務手続上のことであります。中期目標を変更するためには、文部科学大臣に対し、詳細な説明が必要であり、書き換えることは至難の業と考えております。また、中期計画においても合理的な事項は申請はできます が、実現することは非常に難しいことだと思われます。
    ○事項によっては直ぐに結果が出ないものもあり、5年、10年かけて目標を設定することも必要である。日本の高等教育に対するGDPの割合は0. 5%であ り、欧米・ヨーロッパは、1%ないし1. 5%である。国立大学法人は共に連携を図り教育関連予算を強く要求すべきである。
    また、京都大学の特色を出していただきたいことの一つに、実務家の世界でリーダーが養成されていないように感じている。私の会社においても社員を年間 10人から20人、アメリカのMBAに出しているが、リーダーとして光っていない。アメリカのMBAの教育に問題があると感じていたところ、アメリカのMBA担当の教授と懇談する機会 があり、同教授からは、MBAの教育が間違っており、スペシャリストとしての分析的な能力はあるが、ものが充足して新しい物を作り出す時代にニーズがよく 判らなくなり、シートが作れなくなってきている。社会科学においてはこの部分が欠けており、how-toばかりを教えており、whatを教える必要がある。社会科学系の教育の中で京都大学の専門職大学院では、whatを考え新しい物を作り出せる教育をお願いしたい。
    次に、現在、政界、地方自治体では、松下政経塾を出られた方がリーダーとして多数活躍されている。これは、大学でリーダーを養成するような教育を行ってい ないからと思われる。京都大学においては、高い志、資質を持って入学してくる学生に対し、他の大学では行っていない教育を行い、京都大学から次の日本のリーダーとなれる人材を、多数輩出していただきたい。
報告事項
  1. 平成18年度概算要求の内示状況の概要について
    平成18年度の国立大学法人全体及び京都大学における予算の内示状況の概要及び施設整備費補助金関係の予算の内示状況について、報告があった。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○地域研究統合情報センターは、学内の位置づけとして東南アジア研究所の附属施設となるのか伺いたい。
    ●京都大学直属の全国共同利用センターとなり、センターが増えることになります。
    また、概算要求が認められたことに伴い、中期目標・中期計画の変更が必要となりますが、施設関係の補正予算で措置されたものについては今年度に変更する必要がありますが、現在まで文部科学省から指示がありません。改めてご承認をいただくことになります。
  2. 平成19年度概算要求基本方針について
    平成19年度の概算要求の基本方針について説明があった。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○附属病院の新病棟の整備について具体的に説明願いたい。
    ●具体的には、外来棟は整備されましたが、老朽化の著しい外科病棟、南西病棟の整備並びに新病棟の建設をお願いしたいと考えております。
  3. 事務改革について
    平成17年11月1日付けで教育研究推進本部及び経営企画本部を設置したことについて、報告があった。また、事務の簡素化・合理化及び事務組織の再編の進捗状況について、報告があった。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○総合的に事務改革を行った結果、どのくらいの効率化が行えるのか。例えば大学運営経費の中で占める事務管理部門の経費は何%になるのか、あるいは東京大学 等に比べてベンチマークがいいのか。また、国立大学の中で最も効率的に行っている大学との比較がないと実施した場合の結果がいいか悪いかが判りにくく、目 標数値を出していただくか、対前年比での数値が無いと全体としての判断ができない。非常に難しいことで、私学との単純な比較はできないが、他の国立大学と 比較した場合どうなっているのかを見て、京都大学として今後どれくらいの水準に持って行こうとされているか、数値目標まで示していただきたい。
    二番目に、教員、学生に対するサービスの向上ですが、サービスをどのように把握しているか。顧客サービスを行う上で、顧客側のニーズを調査しないとこれでいいか判らない。教職員に対し、年1回何項目かの事務サービスの満足度の調査を実施する必要があるのではないか。
    三番目に、職員の評価並びに処遇のシステムを変えていかないと、仕事の進め方は変わらないのではないか。
    また、旅費は30億円という説明があったが、旅費の削減について旅行社から削減の提案を受けて低廉な航空券の購入、航空会社との協定等30億円あれば、ある 程度何かできるのではないか。また、事務用品等の購入の権限を委譲するとの説明があったが、既に利用されているかもしれないが、集中購買等で安く購入する など民間からのアイデアを採り入れコストを下げる仕組みを利用する必要があるのではないか。
    ●削減目標は東京大学、九州大学も同じで、人件費については、昨年の閣議決定により効率化係数が5年間で5%の削減が国立大学法人にも課せられております。 業務については大学の業務を数値的に表すのは難しいことでありますが、目標としては、簡素化、合理化により2割程度の業務の削減ができればと考えておりま すが、確たる根拠を示すことができておりません。
    一方で、数値目標的なことを申し上げれば、大学で超過勤務手当を年間12億円程度支払っております。事務職員の平均年収を考えれば、160人程度の人件費に 匹敵する金額であり、労働基準監督署により超過勤務手当の不払いによる是正勧告を受けましたが、可能な限り縮減に努めたいと考えております。
    また、ご指摘のありましたベンチマークを作ることにについては、今後、実施したいと考えており、サービス向上のための満足度調査につきましても行いたいと思っております。
    さらに、評価及び処遇システムの改革については、人事制度改革で検討を重ねており、ある程度出来つつあると思います。
    旅費と物品の調達については、手続きの簡素化を図ると共に、教員の協力を得て調達を一本化など、出来ることから実施したいと考えております。旅費についても 旅行社からの協力の申し出がありますが、まずは旅費規程の見直しを行い、集約化、簡素化を図りたいと考えております。
    ○京都大学の予算に対して間接費の積算はすぐに出ると思う。それを東京大学等と比較して良いのか悪いのかを知りたい。また、5年で5%削減の人件費について、スタートとなる人件費の積算額が高いか、ぎりぎりかによりは絶対的なレベルを知りたい。
    現在、どこの企業でもアウトソーシングを採り入れている。ものを安く仕入れるためにインターネットを利用すれば一目瞭然である。是非採り入れてほしい。
  4. 職員の定員削減及び再配置に伴う削減数の割当方式について
    「今後の事務改革等の推進と事務職員等の人件費・定員管理の在り方についての基本方針(平成17年2月14日役員会決定)」に基づき、「職員の定員削減及び再配置に伴う削減数の割当方式」が策定されたことについて、報告があった。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
  5. 行政改革に係る人件費削減等ついて
    「行政改革の重要方針(平成17年12月24日閣議決定)」に基づき、国家公務員に準じた人件費削減の取組を行うことについての、説明があった。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
  6. 平成18年度からの「給与構造改革」に伴う本学の対応について
    平成18年度からの「給与構造改革」の概要について説明があった。
    併せて、平成17年度の給与改定について、報告があった。
  7. 職員の超過勤務について
    京都上労働基準監督署による超過勤務の実状についての立入調査の結果、是正勧告を受けたことについて、報告があった。
    併せて、本学における今後の勤務時間の適正な管理について、説明があった。
  8. 吹き付けアスベスト等使用実態調査及び対応について
    吹き付けアスベスト等使用実態調査の結果及び今後の対応について、報告があった。
  9. 取引金融機関の選定結果について
    本学の取引金融機関の選定結果について、報告があった。

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第7回 平成17年10月12日(水曜日)開催

議事

  1. 中期計画の変更について
  2. 人事院勧告に伴う本学の対応について
  3. 役員退職手当にかかる業務評価について
  4. 平成16事業年度利益処分(案)について

議事録

出席者
尾池総長(議長)、大南委員、大星委員、北委員、木谷委員、熊谷委員、佐村委員、佐和委員、田村委員、中森委員、八田委員、東山委員、藤井委員、本間委員、松本(和)委員、松本(紘)委員、丸山委員、村田委員、矢澤委員、吉川委員、吉田委員
欠席者
石井委員、北城委員、野村委員

議事録承認(平成17年6月29日開催分)

(書面審議開催分)

議事
  1. 中期計画の変更について
    北部総合棟施設の改修事業(PFI)の契約を締結したことに伴う本学の中期計画の変更について説明があり、了承された。
  2. 人事院勧告に伴う本学の対応について
    平成17年度人事院勧告の骨子について説明があり、本学における対応については、過半数代表者及び職員組合との交渉を踏まえ、給与の改定時期及び期末手当の支給率を決定することになるが、最終的な決定については、役員会に一任願いたい旨説明があり、了承された。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答 ◎外部委員回答)
    ○給与改定については、法人化後は、職員組合との交渉で決められると思うが、民間会社では、労働組合は 給与及びボーナスの増額、休日の増加を要求してくるが、会社は、国内及び外国との競争を行っており、要求をすべて呑むことは経営が成り立たないため、妥協できる最小限で労働組合と交渉を行っている。法人ではどのような交渉が行われるか伺いたい。
    ●法人の場合、基本的な財政収入は運営費交付金の占める割合が高いため、交渉に際しては、運営交付金の趣旨に添うよう、社会的に理解が得られるような対応を行っている。
    ●過半数代表者及び組合の対応については、常に経営資源を第一に挙げつつ、労働条件の向上を考えると共に、社会的な説明責任を三大原則とし、予算の有無に かかわらず、社会に説明ができない事項については実施せず、また、やらなければならない事項については、中長期的に実現に向け努力することを柱に対応してきた。同時に、大学の経営状況を公開し、更には人件費についても将来的な見通しを示し、一緒に考える姿勢で対応しており、本学の経営状況については、組合にも理解いただいていると思う。
    ●基本的には人事院勧告を尊重することで約束にはなっているが、組合からは、京都大学教職員給与規程附則第2項の俸給及び手当については、国家公務員の例に準拠するという条項を削除するよう要求がある。
    ○私立大学では既に労働組合との交渉が行われていると思うが、給与水準は国立大学法人と私立大学とでは平均してどちらが高いか。
    ◎私立大学のほうが給与は高いが、教員及び学生一人あたりの仕事量も多い。
    ○今回の人事院勧告の中で、給与の減額以外に地域手当、広域異動手当が新設されているが、地域手当の場合、大企業のある地域が優遇され給与に格差が生じている。職員を異動させる場合に苦慮されると思うが、どのような対応を考えておられるか伺いたい。
    ●地域手当の場合、実施が平成18年度からのため本日の審議事項にはしていないが、京都大学の場合、京都市以外に宇治市、高槻市、大阪府熊取町等各地に施設を有している。現在、宇治市については京都市と同様の適用があるが、18年度以 降は給与格差が生じる。また他大学との人事交流についても差し支えが生じることが考えられ、対応については今後の検討課題となっている。
  3. 役員退職手当にかかる業務評価について
    京都大学役員退職手当規程第3条第2項に定める役員の退職手当にかかる業績評価の業務勘案率の算出について説明があり、了承された。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○配布されている資料の数式が奇異に感じる。京都大学で作成されたものか。また、今後もこの業績評価を用いるのか。
    ●文部科学省で作成された資料を基に作成している。
    ●数式を勝手に変更すると説明責任を問われることになるため、文部科学省で作成された資料で実施したい。なお、この業績評価(案)は今回限りであり、今後は、個人業績評価等についても検討したい。
  4. 平成16事業年度利益処分(案)について
    平成16事業年度利益処分(案)について説明があり、了承された。
    なお、利益剰余金のうち、13億円の使途については、役員会に一任願いたい旨の説明があり、併せて了承された。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○損害賠償分の保険金詐欺事件とは何か。
    ●医学部附属病院で発生した保険金詐欺事件で、和解が成立しているが、本人に支払い能力がないため、移行時限りの臨時的な利益として計上している。
    ○利益剰余金のうち、運営費交付金に影響するのは、61億円、48億円、13億円のどの金額が該当するか。
    ●剰余金のうち、13億円が該当する。運営費交付金は算定式に基づき固定されており、効率化係数により減額されていくことになる。第1期では剰余金に伴う運 営費交付金への影響はないと考えているが、第2期の算定に際し、剰余金が生じたことによる影響は未定である。このため、剰余金の使途については、13億円 が認められれば、教育・研究・医療に有効に活用したい。
    ●人件費について、5年間のシミュレーションを行ったところ、効率化係数により運営費交付金が減額された場合、剰余金を人件費に充当する必要があるが、今後は、教育・研究・診療等大学の発展のために、人件費の区分を予備費以外に活用することも検討する必要がある。
    ○13億円のうち、10億円を人件費のために将来に向かって蓄えることになるが、法人化しても努力のしがいがないと思われるが。
    ●資金の活用については努力のしがいがあると考えているが、人件費が圧迫してくるため、非常に苦しい現状にある。今後、大学全体でどのように運用していくかを、委員会等で検討したいと考えている。
    ○国立大学附属病院の在り方について、今後、会計問題ともかかわって検討されると思うが、民間等医療機関においても経営上非常に厳しい現状にある。このよう な状況の中、国立大学附属病院で行っている基礎研究にかかるウエートが非常に大きいな分野となっている。民間医療機関との連携を有効に図り、経営が成り立 つことが考えられないか。
    ●教育・研究・医療の枠の中で考えていく必要があるが、京都大学における病院の在り方について、京都大学直属の施設としての病院と考えるか、医学部附属病院 と考えるか議論を行ってきたが、結論がでず、現状は医学部附属病院として運営しているが、実質的には大学が考えていかなければならないと認識している。一方で、文部科学省と厚生労働省との摺合わせもあり、問題を整理し、早い内に方針を決定し乗り切る体制が必要と考えている。
    ●京都大学附属病院なのか医学部附属病院なのか、賛否両論があり、議論が煮詰まっていない。京都大学の場合、特に基礎医学が非常に充実しており、臨床研究に 応用できる分野が多数あり、それを踏まえ、今後どのように活用していくかを考えていく必要がある。しかしながら、必ずしも経営に医療が直結するかということがあり、マイナス部分の説明責任を踏まえていかなければ、先端医療が発展しないため、早急に検討する必要がある。
    ○日本で最先端の医療技術は大学病院が担っているが、一方で、混合医療等の問題があり日本で治療が受けられないため、外国で受診している。今後、日本での治 療が認められると、大学病院が中心的に最先端の医療技術を提供することになり、医療技術も向上していく。説明のあったとおり大学附属病院は、一般病院とは 異なり、先端医療を行う上で、単純な収支計算ではなく違った考え方が求められる。これは京都大学の問題だけでなく、日本全体の医療の在り方を考える必要がある。
    ○一般病院においても、最近、新臨床研修制度があり、教育面も担当しているが、大学附属病院においてはいろんな要素があり、臨床研修に指定されていない病院に比べ、非常に複雑であり、診療部門を切り離して法人にすべきという乱暴な意見もある。
    ○先日テレビで取り上げられていた地域医療の問題で、地域というユニットの中で公立病院と私立病院で人的交流を活発に行い、患者が公立病院と私立病院を移動 していくことを可能にしていく病院システムの横へのネットワークの構築が図られている。このような状況の中で、国立大学及び私立大学の附属病院がどのよう な役割を担うか、かなり重要な戦略的な問題と思われる。
    ●地域により大都市における病院とそれ以外の地域の病院では、地域貢献の状況が異なってくる。かなりの議論を行い、よく考えて行わなければならい。
    ●問題なのは、国公立の大学病院の場合、臨床を必ずしも重要視していないことがあり、患者から出てくるメッセージが基礎医学を通じてフィードバックされるべきところ、その認識がうすく、教育の部分と診療の先端医療を大学病院が担うという視点 も不鮮明になってきている。一方で、初期研修の必須化という問題があるがニーズがたりなく、厚生労働省と文部科学省の摺り合わせのアイデアを大学自身で出 していかないと解決しないと理解している。
    ●京都の特徴の一つに、国立病院、府立病院、市立病院等が市内に混在しており、地方都市と違った事情があり、いかに連携を図って行くかを考える必要がある。 一番大事なことは、基礎医学を育て、先端医療技術に役立てる人材を育成していくかが大学の使命であると考えており、また同時に、地域医慮へのサービスの向 上も図る必要がある。
    ○文部科学省から大学への予算配分が単年度主義に囚われており、年度年度で努力した成果が、中長期的に反映されない。
    ●病院の例にたとえると、予算措置されたにもかかわらず、医療器械を調達するためには、国際入札等様々な手続きがあり、導入するのに一年近くかかるなど自由 化が認められていない。いろいろな縛りだけが残ったまま法人化へ移行しており、少なくとも入札制度だけは改善するよう申し入れを行った。
報告事項
  1. 平成16事業年度に係る業務の実績に関する評価結果について
    国立大学法人評価委員会による、平成16事業年度に係る業務の実績に関する評価結果について、報告があった。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○平成16 事業年度の評価において、年度計画が特筆すべき進行状況にあるということで評価の高い大学法人が何大学かある。京都大学における評価は、「計画通り進んで いる」が一つで、「おおむね計画通り進んでいる」が三つである。国立大学法人全体の中では、どのような位置になるのか。
    自己採点はどのように行うのか。
    ●年度計画の達成状況は「業務運営の改善・効率化」「財務内容の改善」「自己点検・評価及び情報提供」「その他業務運営」の4項目62計画について大学で自己評価を行い、それを基に国立大学法人評価委員会が評価したものである。
    本学で自己評価をした結果57計画は「年度計画を順調に実施している」であったが、5計画だけ「年度計画を十分に実施できていない」として申告したことが、評価結果となっている。
    国立大学法人による評価は、5段階評価となっており、「特筆すべき進行状況にある」が5で、「計画通り進んでいる」が4、「おおむね計画通り進んでいる」が3となっている。
    ○京都大学はこれまでの伝統を重んじつつ、改革を行っておられる。5という評価は、目標を書き換える以上の達成状況ということになり、初年度からなぜ達成できるかと思われる。今回の評価は、京都大学のユニークさを表していると考えている。
    ●留意すべき点は、大学を比べて相対的に評価することでなく、年度計画の達成度の評価である。
  2. 平成16事業年度財務報告書(仮称)について
    本学の財務状況を財務報告書として刊行することについて報告があった。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○収入及び費用は一括で計上されており病院経費との区別はされていないのか。
    ●事項によっては病院経費と区分して計上している。
    ○教育経費及び基礎研究経費等は区分されていないのか。
    ●現在のところ、そこまでの分析は行っていない。
    ○今後、京都大学における教育経費、基礎研究経費、先端的研究経費等をアバウトでも分析し整理されたほうが、なお分かりやすいと思われる。
    ●京都大学においては、教育、研究、診療を行っており、支出する経費をそれぞれに区分することは非常に難しい問題である。
    ●詳細な分析までは至っていないが、教育投入費又は研究経費にどのくらい費やしているかは、ある程度分析している。それぞれの経費の使用計画については、年度当初において各部局等に独自に判断願い、その経費を配分している。ご指摘のあった基礎研究等に費やす経費の分析については、今後検討し事業に反映させた い。
    ○大学によっては、教育費及び研究費を区分しずらいと伺っていたが、この報告書を拝見して感銘している。差し支えなければ人件費の算出について伺いたい。
    ●人件費については、法人化後の財務諸表では、定員内職員と有期雇用職員等の人件費を含めて、600億円を算出している。
    ○附属病院の財務状況で、医薬品、診療材料を努力され8000万円を節約したとされているが、医薬品及び診療材料の比率が国立大学法人の平均比率を上回っており、見方によれば努力していないように受け取られる。
    ●病院経費以外でも全国平均及び大規模7大学の平均を掲載している。比較表を掲載することで京都大学の悪い印象を与えることを懸念したが、他大学と比較するとどうかという指標を付けられるところは付けて、しっかりと示していこうという姿勢で掲載している。
    ○京都大学としては、8000万円を節約したが、まだ節約する余地があるというスタンスか。
    ●そのように考えている。
  3. 平成18年度概算要求の状況について
    文部科学省から財務省へ要望した平成18年度概算要求の状況及び本学関係分について、報告があった。
  4. 平成18年度~21年度の部局別・年度別雇用調整計画(教員)について
    教員の平成18年度から21年度の部局別・年度別雇用調整計画の検討状況について、報告があった。
  5. 事務改革について
    「事務改革大綱」により進められている事務の簡素化・合理化及び事務組織再編等の検討状況について、報告があった。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    事務改革の効果で出てくる定員の減或いはコスト削減は雇用調整計画に織り込まれているか別枠であるか伺いたい。
    ●教員とは別枠である。
    ○効率化によるコスト減の試算はされているか。
    ●まだ充分に試算はできていないが、人員については効率化係数対応で、毎年1億円強の削減であるので、5年間で5億円強の人件費の削減効果を見込んでいる。
    ○三研究科の事務については、工学研究科の桂キャンパス移転に伴う措置として、定員を供出して設置されており、業務センター等の設置後は、事務を移管し定員については再考願いたい。
  6. 「京都大学アカデミックパートナーズプログラム」について
    京都大学アカデミックパートナーズプログラム準備委員会において契約書及び企業選定に関する申し合わせ等を作成したことについて、報告があった。
  7. 「京大支援ベンチャーファンド」について
    京大ベンチャーファンド検討ワーキングで作成し、役員会で了承を得た京大ベンチャーファンド基本計画について、報告があった。
  8. 寄附講座の設置について
    平成17年10月1日付けで、工学研究科「日中環境技術研究講座」を設置したことについて、報告があった。
  9. 教育・学生に関する動きについて
    最近の学生の動きについて、報告及び資料配付があった。
  10. 市民向け公開講座等について
    本学の主な市民向け公開講座等について、資料配付があった。

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第6回 平成17年6月29日(水曜日)開催

議事

  1. 平成16年度決算報告について
  2. 平成18年度概算要求について
  3. 平成17年度全学共通経費使用計画について
  4. 平成16事業年度に係る業務の実績に関する報告書(案)について

議事録

出席者
尾池総長(議長)、石井委員、入倉委員、大南委員、北城委員、金田委員、熊谷委員、佐古委員、佐和委員、田中委員、田村委員、辻委員、八田委員、東山委員、藤井委員、本間委員、村田委員、矢澤委員、吉川委員、吉田委員
欠席者
佐村委員、野村委員、松本委員

議事録承認(平成17年3月15日開催分)

議事
  1. 平成16年度決算報告について
    平成16事業年度財務諸表、事業報告書及び決算報告書に基づき説明があり、文部科学大臣あて提出することが了承された。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○財務構造的に発生するとされる利益40億について、どういう形で発生したのか伺いたい。また、文部科学省に提出する決算としての財務諸表としてはこれでい いと思うが、一方で、京都大学の運営を管理する管理会計的にみると、京都大学の各部局がどのような財政状況かわからない。それぞれの部局がどういう判断で 執行されているかわからない。管理会計的なものがどのように扱われているかを伺いたい。
    ●財務構造的に発生する利益についてはいくつかの要因はあるが、病院の例で説明すると、貸借対照表では病院の負債を返済すれば現金が減少するとともに負債 総額も減少する。しかしながら、損益計算書では、病院の収入は利益に計上されるが、負債を返済した場合の返済額は経費に計上されないこととなっている。経 費として計上できないために利益としてあげざるを得ない財務構造となっている。
    管理会計の重要性は認識しているが、部局での執行については部局の自治もあり、それぞれに委ねている。現在各部局の財務状況を分析するため、財務担当理事の下に財務委員からなるタスクフォースを立ち上げ検討を行っており、9月頃を目処にファイナンシャルレポートを作成し、財務状況を明確にしたいと考えてい る。
  2. 平成18年度概算要求について
    企画委員会、財務委員会及び施設整備委員会において取りまとめた平成18年度概算要求事項について説明があり、了承された。
    なお、文部科学省との折衝の過程で、修正、変更等があれば役員会に一任願いたい旨説明があり、併せて了承された。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○法人化前と法人化後では基本的に概算要求はどのように変わったのか。
    ●設備等で説明すると、法人化前は各部局が京都大学を通じて文部科学省に要求し、要求が認められれば要求部局に予算が配分されていた。
    法人化後は、大学が一つの枠となり、大学全体として要求し、認められれば運営費交付金事業として大学に措置されている。
    さらに、事務的に説明すると、法人化前は、国立学校特別会計ということで文部科学省所管で特別会計が組まれていた。大きく分けると、新規概算要求と基準概算要求があり、それぞれ文部科学省に要求していた。
    法人化後は、概算要求事項が限られており、新規事項の中でも増額要求できる事項は、特別教育研究経費として、5つの区分に従った要求しかできなくなっている。
    なお、大学から文部科学省、文部科学省から財務省へ要求するスキームは変わっていない。
    また、経費については、国立学校特別会計のときは、予算項・国立学校、研究所、附属病院として予算化されていたが、法人化後は、交付金として一括予算措置されている。
  3. 平成17年度全学共通経費使用計画について
    財務委員会において策定した「平成17年度全学共通経費使用計画(案)」について説明があり、了承された。
  4. 平成16事業年度に係る業務の実績に関する報告書(案)について
    大学評価小委員会においてとりまとめられ、大学評価委員会において了承された「平成16事業年度に係る業務の実績に関する報告書(案)」について説明があり、了承された。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○全体の項目の中での到達状況を数的に説明願いたい。
    ●京都大学では、評価を受ける項目のウエイト付けは記載していないが、進行状況は30ページ以降に、3段階評価を行うフォーマットして義務づけられているた めローマ数字で記載している。また、フォーマットとして義務づけられてはいないが、項目別の状況について学内では、各担当で自らの段階をランキング付け し、それを管理している。計画の実施にあたっては、全体の進捗状況を把握して実施できるように努力している。
    ○283項目の中で、進捗状況が思わしくないのが数項目あるとの説明があったが、どの項目が思わしくないか説明願いたい。
    ●中期計画168番目の先端的学際的研究領域の発展を促進するために必要な予算配分システムの在り方が、今後の検討課題となっている。
    中期計画182番目の教育研究活動の評価システムに関する内外の実情調査は行ったが、具体的な検討には至っていない。
    中期計画252番目の実験系を中心とした部局ごとに作成している「環境調査及び安全衛生に関する手引き」等を、部局安全衛生委員会で検討見直しを行うことになっているが、十分な実施に至っていない。
    中期計画255番目の学生のための「危機管理マニュアル」の策定に向け準備を進めているが、平成16年度の完成・周知に至らなかった。
    中期計画260番目の「インターネットとPC利用に関するマナー読本」を事務系・技術系職員に配布し、教育・啓発活動に努めているが、学生に対しては周知が不十 分であり、十分な実施に至っていない。
報告事項
  1. 平成17年度予算配分について
    第5回経営協議会において役員会に一任することで了承された、平成17年度予算配分について報告があった。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○配分予算を執行した場合、各部局においては執行額、残額が何日後に把握できるか伺いたい。
    ●資金管理については、財務部出納課において資金を一元管理しており、部局においては執行額を毎日確認することができるようになっている。決算的には月次報 告を行うようになっており、月ごとに会計検査院に対し証明を行うため、最低でも月ごとには把握できるようになっている。
    ○人件費については、全学一括管理を行いそれ以外の経費を配分している旨の報告があったが、管理会計上はどのように扱われるか伺いたい。
    ●法人化前は教員と職員の定員が定められており、法人化後は、その定員の範囲内で退職手当が国から措置される枠組みになっているため、定員を超えることがないよう管理している。人件費については、全学的に一括管理をし、赤字にならないよう教員については毎年各部局に採用計画を提出させ、人件費、ポストの面でオーバーフローしないように定員に対しシーリングをかけている。
    ○各部局の長は、部局の予算、執行状況を見る上で、教職員の人件費を含めた総経費を把握していないと適切に運営されているか判断できないと思われるが、どのように管理されているか伺いたい。
    ●常勤教職員の人件費については、全学的に管理し、物件費と区分し執行している。
    法人化に際し、定められた定員分が退職手当の対象となることから定員管理の必要性が生じ、現在、京都大学では人件費と物件費を区分して管理している。経費の執行済額は、物件費については各部局に経理責任者を配置し、部局の責任において執行していることから、部局で把握しているが、人件費については、全学管理を行っていることから、部局毎の執行済額を部局長が把握していないのが現状である。
    ●京都大学では、研究と教育の実施責任は各部局が担うことになっており、各部局に配当された 教員のポストの範囲内で各部局が人事を行っている。人件費については全学で管理し、各部局においては基本的に人件費については考慮せず、ポストの管理を行っている。
    ○今後、大学を運営するにあたり、人件費を含めた学部の状況を把握できていないと 大学としての優先順位、重点事項が決めにくいのではないか。管理会計的なものは、部局単位で開示するようにした方がいいと思われる。
    ●非常に重要なことであると認識しており、今後、情報を共有して大学の将来を考えていきたい。
  2. 資金管理・運用について
    財務委員会において承認された「平成17年度資金管理・運用について(報告)」について説明があった。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○資金の長期運用については国債だけが対象になるのか。
    ●国からの制約もあり、定められた方法でしか運用できないことになっている。
    ●財務省からの規制もあり、大学が集めた寄附金であっても中期国債等の安定的なものしか運用できない。
    また、収益事業も禁止されており、出資会社等を設立し業務をアウトソーシングし、業務の効率的な運営を図ることも禁止されている。
  3. 平成16年度監事監査報告について
    平成16年度に実施した監事監査について報告があった。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○学生支援の視点で、学生の生活環境、学習環境は、留学生を含め厳しくなる方向であり、経済的な支援だけでなく、法人化の理念を実現していく上で、学生の意 見を組織的にいかに集約するかが必要である。また、監事監査報告を京都大学として受け止め、実りあるものとすることが重要であると考える。
    ○この監事監査報告書は、細部にわたり指摘されており、今後の大学改革に生かしてほしい。中でも学生の支援についての問題点は、学生の過半数の意見を集約するた めの学生の自治組織が存在しないのが驚きである。学生が大学の運営に参画できるような自治組織の設置を大学として如何に考えているか伺いたい。
    ●学生の自治会組織ができていないため、京大新聞の学生に外国の大学の自治会組織を調査し、調査レポートを掲載してはどうかと話をしている。
    ●ご指摘のとおり切実に感じている。2週間に1回の学生との情報公開の場で、組織を設置するように話をしているが、役員の選挙すらできない学部が多数ある。 ある学部では、部局長が学生大会を開催するため休講の措置を講じたが、定足数に達することができなかった。現在、総長と学部、研究科を廻り、学生との意見 交換を行い、コミュニケーションを図っている。
    ○定期的に学生の教育に関する満足度の調査を行い、経年変化を計るような数値化が必要と思うが、大学の考え方を教えて頂きたい。また、監事監査に関しては、内部統制は適切であるとの報告が提出されているが、会計監査についてプロジェクトチームを組んで随時実施されていると思うが、問題が指摘されたことはない か 問題が指摘されていなくても、内部統制上の欠陥は指摘されていないか伺いたい。
    ●監事として立ち会った範囲内では、内部統制は適切であったと判断している。むしろ、内部統制が効き過ぎているため、事務的に手順が複雑になっていると思われるので、業務の見直しが必要と感じている。
    ○内部監査においては不正が起きていないか、または、不正が起きる可能性がないかを監査しており、どこの会社においてもいろんな部門で問題点が指摘されているが、京都大学では問題点の指摘はないのか。
    ●体制に関しては、4月に内部監査室を三名体制で発足させた。上層部の見えないところで不正が行われていないか、また、不適切な処理が行われていないか大 学として適切に把握して、外部から指摘を受ける前に、内部で処置を講じ大学の信用を失わないよう内部監査規程を整備した。
    なお、現在議論されている、上層部に直接伝わる内部通報制度を検討している。
    ○内部通報制度は採り入れるべきである。ただし、内部通報者の匿名制を守る制度にする必要がある。
  4. 平成17年度監事監査計画について
    平成17年度における監事監査計画(基本方針、項目、対象部局)について説明があった。
  5. 京都大学ローム記念館の寄附受入及び(桂)図書館棟の寄附に係る覚書の締結について
    京都大学ローム記念館が平成17年4月26日に竣工し、引き渡しを受けた旨報告があった。また、(桂)図書館棟の寄附に係る覚書を、6月13日に本学と寄附者との間で締結した旨報告があった。
    職員の人事制度改革検討会において、本学職員に係る人事制度「人材育成、評価、任用、給与等」の基本方針等の検討の結果、最終的に取りまとめられた「京都大学職員の人事制度改革」について説明があった。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○人事制度改革において、評価を行う場合、絶対評価を行うのか、分布をした形で評価をされるのか。また、一般職員については自ら評価を設定しているが、自ら評価を設定する場合、上司と話し合いのうえ設定する方がいいと思う。本来達成すべき方向の目標を管理した方がいい。
    一方で、細分化して客観性や信頼性のための細かい数値を設定しない方がいいのではないか。本来いい仕事をした職員を評価すべきであるが、評価した後の昇給等への処遇の反映はどうするのか。
    ●目標管理制度については、昨年の10月から実施をしており、職員に業務改善の提案をさせ、上司が1時間程度面談を実施しているが、制度を設置した段階であり面談の趣旨が充分に理解されていない面がある。時間をかけながら実現に移したいと考えている。
    評価制度については、国家公務員時代は画一的な運用を行っていたが、職員の理解を得ながら実質的に評価し、ボーナス等の査定も優秀な職員の支給率を上げるなど部課長による実質的な評価を行っている。
    ○評価の結果は職員の理解が得られるよう開示を行う方がよい。また、評価の分布はどのように考えておられるか。
    ●今の段階では、よく頑張った職員、目に見える形で成果を上げた職員に対し、ボーナスの査定、特別昇給の実施、上位の職への登用を行いたいと考えており、できる限り明確な説明を評定者から伝え実施したい。
    一方、勤務成績が良好でない職員に対しては、従来から充分な指導を行って来なかったため、職員間に不満が高く、志気の向上に影響を及ぼすため、厳格な評価を行い指導したいと考えている。
    また、総長による役員及び部課長の評価を行って頂きたいと考えている。
  6. 「事務改革大綱」について
    事務改革を進めるに際しての基本的な考え方、方策等を取りまとめた「事務改革大綱」について説明があった。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:回答)
    ○事務改革を進めるに際し、ベンチマークを定めた方がいいのではないか。事務職員の事務量が人数と比較して適切であるか判らない。人数の目標を立てる必要があり、何らかのベンチマークができるのであれば、他の大学と比較した方がよい。
    ●各部局事務について、教員数、外部資金の獲得件数、様々な出張の件数等の客観公平的なベンチマークを約40開発し、さらに、部局の特殊事情を把握して上 で、合理的に再配置するプランを9月中に策定することを考えている。ただ、実施にあたっては、部局と協議し理解を得た上で実現したいと考えている。
  7. 労使協定に関する過半数代表者との協議について
    平成17年3月31日に過半数代表者と協議の結果、労使協定を締結した旨報告があった。
  8. 新たな授業料免除措置について
    経済的理由により授業料の納付が困難な学生に対する支援策として、新たに講ずる約3,000万円の授業料免除措置について報告があった。
  9. 「京都大学アカデミックパートナーズ」プログラムについて
    学生支援・教育環境整備を目的として、京都大学の公式呼称・マークの使用権等を企業に提供し、企業から協賛金を寄附として受けるプログラムについて報告があった。
  10. 京都大学オープンコースウエア(OCW)について
    本学におけるオープンコースウェアの取組状況及び平成17年5月13日に日本OCW連絡会によって行われた合同記者会見の内容について報告があった。
  11. 外部資金・科学研究費補助金の受入状況について
    平成16年度外部資金受入状況及び平成17年度科学研究費補助金の当初配分内定状況について報告があった。
  12. 京都大学の市民向け公開講座等の実施状況について
    本学における市民向け公開講座等の実施状況について報告があった。