平成24年10月
国立大学法人京都大学
国立大学法人は、国民の皆様に対し財政状態および運営状況についての説明責任を果たすとともに、自らの状況を客観的に把握する観点から、財務諸表(貸借対照表、損益計算書、利益の処分(損失の処理)に関する書類、キャッシュ・フロー計算書、国立大学法人等業務実施コスト計算書およびこれらの附属明細書等)の作成および公表が義務付けられています。
今般、9月26日付けで本学の平成23事業年度財務諸表が文部科学大臣の承認を受けましたので、ここに開示しますとともに、決算の概要を説明いたします。
平成23事業年度決算の概要
全体の概要
平成23事業年度は、大学改革推進係数の適用などにより運営費交付金が引き続き減少しているものの、受託研究等の外部資金の積極的な獲得や、診療体制の整備および患者サービスの向上に向けた積極的な取り組みに伴う患者数増による病院収入の増加などにより財源を確保し、あわせて前中期目標期間繰越積立金なども活用することにより、財政基盤を安定させて、教育・研究・診療の質の維持・向上に努めております。 また、「京都大学第二期重点事業実施計画」により、中・長期的および全学的な視点から大学を運営するための戦略的・重点的な事業を推進しております。
平成23事業年度における主な取り組みとしては、教育面では、京都大学第二期重点事業実施計画「経済的学生支援強化事業」により、授業料免除を実施したことに加え、東日本大震災による被災学生に対する経済的支援として、入学金および授業料免除、生活支援奨学金の給付を実施しました。また、研究面では、競争的資金獲得の拡大に向けた支援体制強化のため、研究者を支援し、協働で業務の推進に取り組み高度な専門知識・経験を有する者をリサーチ・アドミニストレーター(URA)として採用し、このリサーチ・アドミニストレーター(URA)を支援する組織体制として学術研究支援室を設置することを決定しました。さらに、(中央)総合研究棟(旧工学部8号館)の耐震機能改修工事や、医療機器の臨床研究から薬事申請まで一連の流れを迅速に行う産官学連携拠点として、先端医療機器開発・臨床研究センターを設置するなど、教育研究環境の整備も行いました。
これらの結果、事業規模は、経常収益が約1,449億円で前事業年度と比べ約58億円の増加、経常費用が約1,431億円で前事業年度と比べ約53億円の増加となっております。
貸借対照表の概要
(単位:億円) | |||||||||
資産の部 | 負債の部 | ||||||||
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土地 | 1,666 | ( | 4 | ) | 資産見返負債 | 752 | ( | 28 | ) |
建物等 | 1,509 | ( | ▲ 3 | ) | 借入金 | 219 | ( | ▲ 29 | ) |
備品 | 427 | ( | 23 | ) | 長期未払金 | 139 | ( | 0 | ) |
図書 | 331 | ( | 4 | ) | 寄附金債務 | 143 | ( | 5 | ) |
建設仮勘定 | 23 | ( | 5 | ) | 未払金 | 232 | ( | ▲ 113 | ) |
投資有価証券 | 86 | ( | 1 | ) | その他 | 159 | ( | 92 | ) |
長期性預金 | 46 | ( | 20 | ) | 負債合計 | 1,644 | ( | ▲ 17 | ) |
純資産の部 | |||||||||
現金及び預金 | 121 | ( | ▲ 328 | ) | 資本金 | 2,445 | ( | 0 | ) |
有価証券 | 240 | ( | 229 | ) | 資本剰余金 | 203 | ( | 8 | ) |
未収入金 | 75 | ( | 15 | ) | 利益剰余金 | 260 | ( | 87 | ) |
棚卸資産 | 4 | ( | ▲ 8 | ) | 当期未処分利益 | 9 | ( | ▲ 117 | ) |
その他 | 33 | ( | ▲ 2 | ) | 純資産合計 | 2,917 | ( | ▲ 22 | ) |
資産合計 | 4,561 | ( | ▲ 39 | ) | 負債・純資産合計 | 4,561 | ( | ▲ 39 | ) |
( )の金額は前年度比増減 |
(資産の部)
資産の合計は、4,513億円で前事業年度より48億円減少しております。主な減少の要因としては、施設整備事業として行った(中央)総合研究棟(旧工学部8号館)や(南部)総合研究1号館・再生研西館の改修等により建物等が増加した一方で、減価償却の進行により建物等の有形固定資産が減少したことによるものです。また、有価証券については、償還期日をむかえたことにより減少となっています。
(負債の部)
負債の合計は 約1,627億円で、前年度より17億円減少しております。主な減少の要因としては、附属病院に係る設備整備等のための国および国立大学財務・経営センターからの借入金の減少によるものと、長期未払金の支払いによるものです。
(純資産の部)
純資産の合計は 約2,886億円で前年度より31億円減少しています。主な減少の要因としては、施設費による固定資産の取得等の増と損益外減価償却費累計額等の増との差額(資本剰余金の減少)によるものです。
損益計算書の概要
(単位:億円) | |||||||||
費用 | 収益 | ||||||||
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教育研究診療等経費 | 709 | ( | 52 | ) | 運営費交付金収益 | 485 | ( | ▲ 72 | ) |
人件費 | 615 | ( | ▲ 18 | ) | 学生納付金収益 | 137 | ( | 0 | ) |
一般管理費 | 42 | ( | ▲ 2 | ) | 附属病院収益 | 297 | ( | 16 | ) |
支払利息 | 12 | ( | ▲ 2 | ) | 外部資金 | 248 | ( | 8 | ) |
経常費用合計 | 1,378 | ( | 30 | ) | その他 | 224 | ( | 21 | ) |
経常収益合計 | 1,391 | ( | ▲ 27 | ) | |||||
臨時損失 | 5 | ( | 4 | ) | 臨時利益 | 0 | ( | ▲ 37 | ) |
前中期目標期間繰越積立金取崩額 | 1 | ( | ▲ 19 | ) | |||||
合計 | 1,383 | ( | 34 | ) | 合計 | 1,392 | ( | ▲ 83 | ) |
当期総利益 | 9 | ( | ▲ 117 | ) | ( )の金額は前年度比増減。 ただし、前中期目標期間繰越積立金取崩額の増減は 目的積立金取崩額と比較 | ||||
総計 | 1,392 | ( | ▲ 83 | ) |
(費用)
費用の合計は、約1,433億円で、前年度より50億円増加しています。主な増加の要因としては、前事業年度に教員の定年延長の影響によって、一時的に退職手当の支給額が減少していたことに伴う退職手当の支給額の増加によるものです。
(収益)
収益の合計は、約1,450億円で、前年度より58億円増加しています。主な増加の要因としては、運営費交付金債務のうち、当期の収益として認識した額の増加に伴う運営費交付金収益の増加や、患者数および手術件数等の上昇に伴う附属病院収益の増加によるものです。
(当期総利益)
収益から費用を差し引いた約17億円を当期総利益として計上しております。この当期総利益は、附属病院に関する借入金の償還期間と借入金により取得した資産の減価償却期間のずれ等から生じた将来に発生する損失に見合う額約14.5億円と、効率的な事業の実施による経費削減等の本学の運営努力により生じた額約2.9億円からなります。本学の運営努力から生じた額については、別途、文部科学大臣の承認を受けた後、第2期中期計画に沿って、教育研究診療等の質の向上のために活用していきます。
平成23事業年度の決算の概要は以上のとおりです。詳細につきましては、開示いたしました財務諸表等、および各ステークホルダーの皆様に向け財務に関する運営状況を取りまとめたファイナンシャルレポート2012をご覧いただきたく存じます。