教育学研究科附属臨床教育実践研究センター公開講座「成人生活への子ども時代の経験の影響」を開催しました。(2013年10月6日)
臨床教育実践研究センターでは、毎年、深刻化する教育問題への取り組みの一環として、現代人のこころの理解に主眼をおいた公開講座を開催しています。
2013年度は、Gustav Schulman(グスタフ・シュルマン) 臨床教育実践研究センター客員教授を講師として、百周年時計台記念館国際交流ホール III で行い、心理臨床家や医師、教育関係者、学生など約60名の参加がありました。
講演では、初めに、虐待をはじめとした子ども時代のトラウマの体験が、成人してからの生活にどのような影響を及ぼすのか、また精神病理といかに関連するのかについて、様々な実証的データを参照しながら語られました。さらに、臨床例を交えながら、トラウマの体験が基底にある患者に対して、どのような治療がなされうるか、また、トラウマの世代間伝達を防ぐために幼児期の育児において重要となる点についても語られました。指定討論においては、精神分析を初めとする心理療法における具体的なかかわり方について、より詳細に語られました。精神分析実践の経験が豊富な講師の語り口に接した参加者からは、「幼児期のトラウマ体験が成人期まで影響する可能性があることに、その時期の養育の大切さを改めて感じた」、「トラウマを抱えている人を支援するうえで大事なポイントを知ることができたので、今後の支援に活かしていきたい」などの感想が寄せられ、貴重な機会となりました。
本講座は例年参加者から大変好評を得ており、2014年度以降も、現代社会の複雑なこころの問題を理解するための視点を一般市民に向けて広く提供できる場となるよう開催する予定です。
会場の様子