臨床研究中核病院構想シンポジウムを開催しました。(2013年2月9日)

臨床研究中核病院構想シンポジウムを開催しました。(2013年2月9日)

 医学部附属病院主催「京都大学臨床研究中核病院構想シンポジウム」を国立京都国際会館にて開催しました。

 シンポジウム冒頭で、三嶋理晃 理事(病院・国際担当)・副学長・医学部附属病院長が開会の挨拶を行い、次いで佐原康之 厚生労働省医政局研究開発振興課長より、臨床研究中核病院事業の概要についての説明がありました。説明の際、「より良い治療を、より早く患者さんに届ける。そして日本初のイノベーションを世界に発信していく」と、臨床研究中核病院へ期待を寄せられました。

 基調講演では、Pierre Lafolie カロリンスカ医科大学臨床薬理学科准教授より、ヨーロッパ諸国の事例をもとに「GCPは臨床研究を発展させるか、それとも障壁となるのか」をテーマに、次いで、Dick de Zeeuw グローニンゲン大学医療センター臨床薬理学科主任教授より「腎臓病の治療。現在、我々はどこまで来ているのか」をテーマに、それぞれ講演されました。

 続くセッション「臨床研究中核病院から」では、厚生労働省が臨床研究中核病院に選定した、北海道大学病院の佐藤典宏 高度先進医療支援センター長、名古屋大学医学部附属病院の松尾清一 病院長、九州大学病院の中西洋一 ARO次世代医療センター長、医学部附属病院の清水章 探索医療センター探索医療開発部教授が各大学の本事業の取り組みについて講演しました。次いで川上浩司 理事補(研究担当)・薬剤疫学教授をモデレータ、槇野博史 岡山大学理事・病院長をオブザーバー、上記セッションの講演者4名をパネリストに、ラウンドディスカッションを行いました。

 このセッションの締め括りとして、井村裕夫 公益財団法人先端医療振興財団理事長・本学元総長が講演され、「大学における臨床研究は先端的な知識が集積し多数のシーズがあり、これを活用しやすいとしながら、一方でこれまできちんと理解されてこなかった。臨床研究は有効性、安全性を検証していく科学であり、創薬や医療機器の開発、希少疾患への挑戦と、さまざまな可能性がある。大学も政府もマスコミもそこを理解し、成果を高めてほしい。また、大学はトランスレーションのサイエンスを進めることが重要である」と述べられました。

 さらに「京都大学4つの取り組み」をテーマに、中尾一和 医学研究科内分泌代謝内科学教授、萩原正敏 同形態形成機構学教授、上嶋健治 同EBM研究センター特定教授、川上教授が講演を行いました。

 また、これらのメイントラックと併行して、分科会「医療倫理トラック」と「臨床研究教育トラック」を行いました。

 医療倫理トラックでは、小杉眞司 医学研究科医療倫理学・遺伝医療学教授、笠原正登 同EBM研究センター特定准教授が講演を行いました。続くパネルディスカッションでは笠原特定准教授がモデレータを務め、小杉教授、アーネスト法律事務所の藤本久俊弁護士、日経ドラッグインフォメーションの北澤京子副編集長、患者団体をパネリストとして、臨床研究の推進に当たり、その課題や解決策について議論を行いました。会場は満席となり、関心の高いテーマであることが伺えました。

 臨床研究教育トラックでは、中村孝志 国立京都医療センター院長による挨拶の後、福原俊一 医学研究科医療疫学教授・福島県立医科大学副学長が「臨床研究デザイン7つのステップ」をテーマに講演を行いました。次いで、山本洋介 医学研究科医療疫学特定講師、同医療疫学博士課程の福間真悟氏をファシリテーターにワークショップを行いました。研究具体例を用いて臨床研究のプロセスを学び、デザインの仕方や方法について考える演習で、医療従事者を中心に数多くの参加者がありました。

 会場には医師や研究者、製薬企業、一般の方など、約670名が来場し、各講師の講演に熱心に聞き入る様子が見られ、盛況のうちに閉会しました。


開会の挨拶をする三嶋理事・副学長

メイントラック「ラウンドディスカッション」の様子

分科会・臨床研究教育トラック「ワークショップ」の様子

分科会・医療倫理トラック「パネルディスカッション」の様子