手のひらの上で講義 -情報教育推進センターがモバイルオンライン講義視聴システムを開発- (2010年3月11日)

手のひらの上で講義 -情報教育推進センターがモバイルオンライン講義視聴システムを開発- (2010年3月11日)

 京都大学は、財団法人京都高度技術研究所および、リコーITソリューションズ株式会社の協力のもと、大学院も含む全学情報教育を支援する新しい仕組みとして、モバイル環境でのオンライン講義視聴システムを開発しました。開発されたシステムは、3月11日開催の情報処理学会創立50周年記念(第72回)全国大会での特別企画セッション「人材育成における情報教育」において発表されました。

 情報学研究科(研究科長:中村佳正)附属情報教育推進センター(以下、情報教育推進センター)の田中克己教授・中村聡史特定准教授が開発した、モバイル環境のためのオンライン講義視聴システムでは、情報教育推進センターで提供する情報教育科目に関する講義を、リコーITソリューションズ製の収録ソフトであるMP Meisterを利用して収録およびアーカイブ化し、iPhoneやiPod touchで視聴できるようにコンテンツの変換を行います。ユーザ(主として学生)がiPhoneやiPod touchを利用して講義コンテンツにアクセスすると、これらのモバイル機器上に講義スライドと教員の講義映像・音声が同期して提示されます。

 また、ユーザのスライドに対する操作により、視聴したい講義内容まで移動したり、講義スライドの一部を拡大したり、講義スライドの一部に対してアノテーション(質問や感想など)を付加することが可能です。付加されたアノテーションはサーバに集約され、教員は集約されたアノテーション(質問や感想など)をiPhoneやiPod touch、またウェブインタフェースを利用して確認し、学生からの質問に答えたり理解できない箇所を把握できます。質問に対する教員からの回答もiPhoneやウェブインタフェースを利用して確認することができます。

 本開発システムは、アーカイブ化された講義を通学・通勤中や待ち合わせ中などの空き時間を利用して講義を復習したり、教員自身が講義を見直し改善を図ることもでき、学生と教員間の対話を促したりすることができると期待されます。

  1. 図1.モバイルオンライン講義視聴システムの画面イメージ

  1. 図2.ウェブインタフェースを利用した講義の視聴および学生との対話

情報教育推進センターの概要

 当センターは、IT(情報科学・計算科学)と情報社会制度・ビジネスに関する知識を有しイノベーションに貢献する人材を育成するための、大学・大学院レベルの全学情報教育プログラムの研究・策定と実施を行う組織として平成21年度に情報学研究科の科内センターとして発足しました。当センターでは、京都大学の学部、大学院の全学情報教育プログラムの策定、教材コンテンツ作成、教育支援システム開発、および、全学情報教育の実施を行います。なお、当センターの事業は、平成21年度~25年度の文部科学省特別経費(高度な専門職業人の養成や専門教育機能の充実)によるものです。

情報処理学会創立50周年記念(第72回)全国大会の概要

以下のURLをご参照ください。
http://www.ipsj.or.jp/