寄附講座「システム創薬科学講座」を新設 (2008年9月29日)

寄附講座「システム創薬科学講座」を新設 (2008年9月29日)

 平成20年10月1日より薬学研究科に寄附講座「システム創薬科学講座」(寄附者:小野薬品工業株式会社)を新設することになりました。

寄附講座「システム創薬科学講座」の概要

設置年月日
(寄附受入期間)
平成20年10月1日
(平成20年10月1日から平成25年9月30日まで)
大学名(研究科名) 京都大学(薬学研究科)
寄附講座の名称
(英文名)
システム創薬科学講座
(Department of Systems Bioscience for Drug Discovery )
寄附者 小野薬品工業株式会社 代表取締役社長 相良 暁
寄附者の概要 (1) 設立年月日:1947年
(2) 資本金:173億円
(3) 本社所在地:大阪市中央区久太郎町1丁目8番2号
(4) 事業内容:医療用医薬品を主体とする各種医薬品の製造、仕入および販売
寄附方法 分割寄附
寄附の時期 平成20年から平成25年
担当教員 奥野 恭史 教授
瀬木 恵理 準教授
助教2名(公募)
研究目的等  ヒトゲノム解読完了を受けて、生命科学の研究対象は、個々の遺伝子の機能解明から、多数の因子の相互作用が生み出す複雑な「システム」としての挙動を明らかにすることに移行しつつあります。このことは、ゲノミクスを出発点として、機能ゲノミクス、薬理ゲノミクス、ケミカルバイオロジー、システムズバイオロジーといった新しい研究分野「システム生命科学(Systems Bioscience)」の創出をもたらしました。
一方、今日における創薬科学は、単一の疾患原因タンパク質を特定し、その単一標的分子の機能制御を目的とした「分子標的創薬」が主流となっています。しかしながら、医薬品開発における重要課題である副作用発現の原因の一つが薬物と予期せぬ生体分子との作用に起因することからもわかるように、薬物による単一のタンパク質の機能変化からその薬理活性の全てを語り尽くして創薬へと繋げることは事実上不可能であり、ブレークスルーとなる革新的創薬が待ち望まれてきました。
このような背景から、本講座では、システム生命科学の研究技術を創薬研究の実践的問題に適用し、創薬に特化したシステム生命科学の研究開発を行うことにより、新たな創薬科学理論「システム創薬科学」の創成を目指します。
研究内容等  システム創薬科学講座では、種々の疾患における病態発症プロセスを分子ネットワークの変化として捉えることにより、病態メカニズムのシステム的解明と疾患原因遺伝子の合理的探索を行います。さらには、薬物による作用発現を複雑な生体シグナルとしてシミュレーションすることにより、多重標的薬理作用のシステム的解析を行い、生体のシステム的制御を志向した合理的薬物探索と分子設計理論の構築を行います。これにより、より効果的かつ安全性の高い医薬品の創製が加速化されることが期待されます。
研究課題等
  1. 病態発症プロセスや薬理作用プロセスにおけるゲノム発現解析による病態メカニズム、薬理メカニズムのシステム的解析
  2. 病態発症プロセスや薬理作用プロセスのシステムシミュレーションによる病態原因遺伝子、薬物標的遺伝子の同定
  3. ケミカルゲノミクス情報、遺伝子発現データ、副作用情報などのデータ統合による多重標的薬理作用のシミュレーションモデルの開発
  4. 多重標的薬理作用モデルに基づく薬理効果促進と安全性向上を志向した合理的薬物探索手法の開発とドラッグデザイン理論の構築

参考

  • 日刊工業新聞(9月25日 25面)および読売新聞(9月29日 38面)に掲載されました。