京大ボート部よりドイツ遠征した際の報告が届きました。
京大ボート部ドイツ遠征
ドイツと言えば、ボート強豪国である。日本ではマイナースポーツであるボートであるが、海外では国民的英雄となる選手もいる。そんなドイツより、レースの招待がきた!部員はみんな沸き立った。京大ボート部は花形種目である「エイト」で全日本大学選手権優勝を目指して、ほぼ毎日合宿する日々を送っている。「エイト」は8人の漕ぎ手と、1人の舵取り役が乗り込む。「エイト」を速く進めるには部の総合力が重要である。京大ボート部は島田隆監督主導の下、「積極的チャレンジ」を掲げ2007年には全日本大学選手権「エイト」の部で準優勝した。優勝するために、もう一歩何か刺激となる策が欲しい…。ドイツでのレースはまさに願ってもないものであった。2007年11月に、ハイデルベルグ市より、レースの招待が来た。「ハイデルベルグレガッタ・エリート大学部門」への招待であった。しかし、このレースは参加大学が4校のみであったため、中止に。だが、ハイデルベルグ大学で客員教授として教鞭をとっておられた、京大ボート部OBである荒井章三教授がハイデルベルグ大学・市と交渉の末、ハイデルベルグ大学と京大のフレンドシップマッチとして、レースが行われることとなった。遠征は5月14日から27日の2週間。16、17、18日にデュイスブルグでもう一つ大会に参加することとし、24、25日にハイデルベルグレガッタに参加することとした。京大ボート部OB会である濃青会は遠征を全面支持し、特別寄付を募った。遠征にはエイトのメンバー9名、2人乗りの種目「ペア」の2名、学生コーチ2名、マネージャー2名の計15名が参加。他に監督・OBコーチの3名が参加した。
遠征の準備が整い、ゴールデンウィークに琵琶湖で大会があったため、5月14日の出発までに少ない期間で、練習し、クルーを仕上げた。5月14日に関西空港よりドイツへ向けて出発した。14時間の長いフライトであった。

最初に滞在したデュイスブルグは田舎町であった。「ドイツは英語が通じる」と言われていたが、ほとんど通じなかった。レース会場のウェダウスポーツ公園は巨大な複合スポーツ施設であり、サッカースタジアム、テニスコート、プール等があった。デュイスブルグで参加した、「ウェダウ国際レガッタ」では各国のナショナルチームが参加しており、世界との差を肌で感じた。会場では、他のクルーに大きく遅れてゴールする京大クルーに「キョウト」コールが投げかけられた。遠い地から参加した弱小クルーに、ドイツの人は温かかった。
ウェダウ国際レガッタの後、ハイデルベルグに移動、荒井教授と合流した。ハイデルベルグは大学と街が混ざったような街で、歴史的な美しい建造物が並んでいた。ハイデルベルグ大学のすぐそばのユースホステルに宿泊した。宿泊費はすべてハイデルベルグ大学が負担してくれた。ハイデルベルグ大学の学長に尾池和夫総長からのメッセージを荒井教授、主将、主務が持参したが、生憎留守であり、秘書の方に預けた。ハイデルベルグでは、現地の大学、ボート関係の方々に、レセプションパーティを開いてもらった。そこで、レースの相手であるハイデルベルグ大学のクルーとも対面した。彼らは、ボート選手としてのみならず、学生として魅力的に見えた。つたない英語ではあったが、メンバー同士で交流し、ボート競技者として、交流を深めることが出来た。

5月24日、ハイデルベルグレガッタ当日を向かえ、レースはカールスルーエ大学も参加して3チームのレースとなった。レースは水運にも使われるネッカー川で、1000mのコースが設営されていた。普段の2000mレースの半分であった。レースは序盤より、積極的に挑んだが、僅差で三着に。すぐに対策を練り、翌日のレースに備えた。5月25日。もう一度同じ3校でレースをした。カールスルーエ大学は序盤より飛び出る。狙うは、ハイデルベルグ大学。スタートより頭を抑え、最後まで逆転を許さなかった。ボートの本場ドイツで、勝利。そのまま、ハイデルベルグ大学と混成チームを組み、レース。レース後は、さすがドイツ、すぐにビールが手渡され、レース直後に乾杯となった。荒井教授は終始その様子を温かな目で見守っておられた。
5月26日、ドイツの競技用ボートメーカー「enpacher社」の工場見学後、ハイデルベルグ大学の用意してくれたバスでフランクフルト空港へ向かう。2週間の長い遠征であったが、間延びすることの無いたいへん濃いものであった。世界のボート選手と知り合える、スポーツを通して、言葉が通じなくてもコミュニケーションが取れる…部活動を通して、世界を見た遠征だった。体育会の部活離れが進んでいるそうだが、部活をしていなければ、こんなに良い経験は出来ないだろう。ハイデルベルグでのレースを実現にお骨折りしていただいた、荒井教授、ハイデルベルグ大学、ハイデルベルグ市の多くの方々、また、遠征のために多額のご寄付をくださったOBの皆様方にも心から感謝したい。そしてこれから夏、全日本大学選手権制覇にむけて、また練習の毎日である。
![]() | ![]() レーススタート |
![]() ハイデルベルグレース後のビール | ![]() ハイデルベルグレース後 |
京大ボート部