カエルの合唱の法則を数学と光計測を使って発見

カエルの合唱の法則を数学と光計測を使って発見

2014年1月27日

 奥乃博 情報学研究科教授、合原一究 理化学研究所脳科学総合研究センター基礎科学特別研究員、合原一幸 東京大学生産技術研究所教授らの共同グループは、多数のニホンアマガエル(以下、アマガエル)の集団発声行動が生み出す同期現象を発見し、さらにその同期現象を説明する数理モデルを提案しました。

 この成果は、2014年1月27日にネイチャー・パブリッシング・グループの総合科学雑誌「Scientific Reports」(オンライン版)に掲載されました。

研究者からのコメント

 私たちは、日本人にとって身近なアマガエルの合唱(集団発声行動)について、音声を光に変換して可視化する装置を使用して野外調査を行った結果、多数のアマガエルが鳴くタイミングを互いにずらすという現象を発見しました。また、本研究で用いた音声可視化システムは、これまでに日本のみならず、オーストラリア、パナマなどでも他種のカエルの研究にも使っており、さらに昆虫など、夜行性で音声を発する動物の行動研究への応用が期待できます。

 今後は、国内外の研究者と連携し、さまざまな種類のカエルの集団発声行動を明らかにしていきたいと考えています。

概要

 春になると、我が国の広い範囲でアマガエルが水田等で鳴き交わす発声行動を観察することができます。カエルの合唱は、水田や池、川などさまざまな場所で見られますが、個体ごとの空間配置および発声タイミングの測定はこれまで困難でした。本研究グループは、独自に開発したアマガエルの発声行動を可視化する音声可視化素子「カエルホタル」(特開2010-133964,米国特許8,416,957)数十台を水田に並べ、その明滅の時空間パターンを動画として撮影する野外調査を行い、多数のアマガエルが交互に鳴き交わす同期現象を発見しました。また、結合振動子系の理論を応用して、空間的に運動する振動子モデルから成る結合振動子系の数理モデルを提案し、野外で観測した同期現象を定性的に説明しました。これらの音声可視化システムおよび数理モデルは、他種のカエルや昆虫など、夜行性で音声を発する動物の行動研究への応用が期待できます。


本研究の概念図

 

詳しい研究内容について

カエルの合唱の法則を数学と光計測を使って発見

書誌情報

[DOI] http://dx.doi.org/10.1038/srep03891

[KURENAIアクセスURL] http://hdl.handle.net/2433/180555

Ikkyu Aihara, Takeshi Mizumoto, Takuma Otsuka, Hiromitsu Awano, Kohei Nagira, Hiroshi G. Okuno & Kazuyuki Aihara
"Spatio-Temporal Dynamics in Collective Frog Choruses Examined by Mathematical Modeling and Field Observations"
Scientific Reports 4: 3891 Published 27 January 2014

掲載情報

  • 朝日新聞(1月28日 35面)、京都新聞(1月28日 28面)、産経新聞(1月28日 30面)、中日新聞(1月28日 3面)、日本経済新聞(1月28日夕刊 14面)、毎日新聞(1月28日 30面)および読売新聞(1月28日 34面)に掲載されました。