京都大学大学院医学研究科
iPS細胞研究センター
京都大学大学院医学研究科発達小児科学の中畑龍俊教授らの研究グループは、「ヒト疾患特異的iPS細胞の作成とそれを用いた疾患解析に関する研究」、「ヒト疾患特異的iPS細胞を用いた遺伝子解析研究」という2つの課題名で、京都大学の「医の倫理委員会」に申請していましたが、6月4日付で研究計画が承認されました。
この研究を通して、別紙に掲げる特異的疾患の細胞・組織に由来するiPS細胞の作成と遺伝子レベルでの解析、また患者さんから作成したiPS細胞を用いて中枢神経組織など直接患者さんからの採取が困難な細胞・組織の作成も可能となり、従来にない観点からの疾患の診断、原因の解明や、安全で有効な新規治療法の開発に向けての研究基盤の確立を目指しています。
中畑教授らの研究グループ:
京都大学発達小児科学、内分泌代謝内科、臨床神経学、形成外科学、消化器内科学、肝胆膵移植外科学、消化器外科学、整形外科学、iPS細胞研究センター、再生医科学研究所及び独立行政法人理化学研究所の研究グループ
iPS細胞とは、induced pluripotent stem cell の略で、京都大学の山中伸弥教授によりその作成方法が開発された新規の人工多能性幹細胞です。この方法を応用して、患者さんに由来するヒトiPS細胞を作成することができれば、その多能性を基に、疾患に関連した種々の細胞・組織を誘導することが可能となります。そのため、検体採取において患者さんに強いる負担を大きく軽減できるとともに、生体よりの入手が困難である組織の作成も可能となり、従来にない観点からの疾患研究が期待できます。
さらに、安全で有効な治療基盤の確立のためには、目的とする細胞・組織を繰り返し、多量に用いて検討を行う必要がありますが、疾患特異的iPS細胞を用いれば、目的とする細胞・組織を繰り返し作成することが可能となり、有効性・安全性を担保するための研究の進展に大きく寄与できることが期待されます。
医学部附属病院において各分担研究者により診断・治療を受け、下記の疾患に羅患していることが確定した者を対象とする。ただし、研究の進展により、対象疾患が拡大する可能性がある。
小児科領域 : | Fanconi anemia等の難治性血液疾患、先天性免疫不全症等の免疫疾患、I型糖尿病などの内分泌・代謝性疾患、West syndrome等の神経精神疾患、先天性筋ジストロフィー症等の筋疾患、QT延長症候群等の循環器疾患などを含む小児難治性疾患 |
整形外科領域 : | 整形外科領域における骨形成不全症などの遺伝性難治性疾患及び後縦靱帯骨化症などの病因不明難治性疾患 |
内分泌内科領域 : | 脂肪萎縮症などの難治性内分泌代謝疾患 |
神経内科領域 : | 脊髄性筋萎縮症、パーキンソン病などの難治性神経変性疾患 |
消化器内科領域 : | 炎症性腸疾患などの難治性消化器疾患 |
肝胆膵外科領域 : | Byler病などの難治性の肝・膵・胆道疾患 |
消化器外科領域 : | 炎症性腸疾患などの難治性消化器疾患 |
- 京都新聞(6月6日 28面)、日本経済新聞(6月6日 38面)、毎日新聞(6月6日 3面)および読売新聞(6月6日 3面)に掲載されました。