白浜海の家竣工披露式 挨拶(2008年7月12日)

尾池 和夫

尾池総長  本日は「京都大学白浜海の家」竣工披露式に、立谷白浜町長、岡谷白浜町議会議長をはじめとする白浜町地元関係者の皆様、また、本学からも多数の関係者の皆様にご出席賜り、誠にありがとうございます。

 「白浜海の家」の沿革について少しお話しいたします。

 隣のフィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所の前身である京都帝国大学理学部附属瀬戸臨海研究所が、大正11年(1922年)、(白浜町の前身である)当時の瀬戸鉛山村(せとかなやまむら)から敷地を購入した際に当時の浦漣(さざなみ)村長から山林3,277坪の寄付を受けるとともに、隣接地の買収や大阪税務監督局からの管理換えを受け、昭和10年に建物を新築したのが「白浜海の家」の出発です。

 当初は、本部福利厚生施設として使用していましたが、その後、課外活動施設として利用されるようになりました。一時は、研究室のゼミ等にも利用されていましたが、近年は、体育会のウィンドサーフィン部や自転車競技部の合宿、また花火大会の時の学生の宿泊等にも利用されています。

白浜の家 風光明媚なプライベートビーチに隣接したところに建っているとはいえ、築70年を経過した建物は、シロアリ等によりかなり老朽化していましたので、今回、学生の学習意欲を喚起するキャンパス環境の改善を図る一環として、学生・教職員の福利厚生や一層の課外活動の活発化を期して建て替え、再出発することになりました。

 今回の建替にあたって、平素より京都大学に対してご支援、ご指導をいただいている地元関係者の皆様には、工事中につきましても何かとご協力いただき完成する運びとなったことに感謝いたします。


サイコロベンチ 今回の「白浜海の家」の建築工法は、京都大学地球環境学堂の小林正美教授が中心となって開発された間伐材を利用したj-Pod工法を用いて建設されました。既に本学では、吉田キャンパスで「国際交流セミナーハウス」の建設にあたってこの工法を用いております。j-Pod工法については、後ほど施設の概要説明で小林教授から説明があると思います。今回の木材の多くは、地元有田郡和歌山研究林の間伐材を利用しました。間伐材の有効利用は、地球環境にも優しく、ここ和歌山においても、j-Pod工法が一般に広く利用されることを期待します。さらに、建物付近に設置されているサイコロベンチも和歌山研究林の間伐材を利用しています。間伐材の切り出し等の提供に関しては、フィールド科学教育研究センターの白山センター長、柴田副センター長の協力にも感謝いたします。

げっとう(月桃)の花 この完成した「白浜海の家」のある地域には、やがて南海地震が起こり、大津波がやってくることが分かっています。その被害を防ぐため、実用化された緊急地震速報を活用するシステムを導入しておいてほしいと思います。また、地元と京都大学が協力して、震災や津波に備える方策のモデルとなるような防災計画を仕上げておいてほしいと願っています。

 ありがとうございました。