2007年度京都大学総長賞授賞式 挨拶 (2008年3月10日)

尾池 和夫

当日の様子皆さん、おはようございます。2007年度の京都大学総長賞の授賞式にあたり、ひと言ご挨拶申し上げます。今年度は、個人9名と1団体が受賞されます。

医学部医学科の清水覚司(しみずさとし)さんは、自主研修時に始めた研究を自主研修期間後も継続し、研究成果を専門誌に筆頭著者として発表するまでにまとめあげました。また同じく医学部医学科の村川泰裕(むらかわやすひろ)さんは、海外の研究室にも度々派遣される中で、ノーベル生理学医学賞受賞者のハント博士の研究室で研修した際にも筆頭著者として論文を報告されるなどの成果を挙げられました。

おふたりともに言えることですが学部学生でこのように学生の自主的研究の中からこのような成果が生まれることは非常に頼もしいことであります。

理学研究科化学専攻の辻本 吉廣(つじもと よしひろ)さんは、これまでの常識を覆す画期的な鉄酸化物の発見に成功した研究グループの一員であり、first authorとして論文が科学誌ネイチャー(電子版)に掲載されるなど研究成果が評価されました。

理学研究科生物科学専攻の張鵬(ちゃんぽん)さんは、4年前に留学されて以来、ニホンザルと金糸猴(きんしこう)を対象に精力的に研究活動を行い、第22回国際霊長類学会で最優秀学生ポスター発表賞を受賞、数々の論文発表を行うなど顕著な業績を挙げていることが評価されました。

農学部資源生物科学科の川崎 倫久(かわさき ともひさ)さんは第32回西日本学生相撲個人体重別選手権大会65kg未満級で優勝、第32回全国学生相撲個人体重別選手権大会65kg未満級で準優勝するなど、近年部員不足に悩まされる中で研鑽を積み、成績を伸ばした点が評価されました。

法学部の久保 洋介(くぼ ようすけ)さんは、京都文化博覧会の初代実行委員長として同企画を実現、京都学生人間力大賞理事長賞を受賞するなど京都からのそして学生からの文化発信に多大な可能性を提示したことを評価されました。

工学部工業化学科の藤田 卓也(ふじた たくや)さんは、第5回京都学生祭典の実行委員長として、祭典をこれまでにない規模で成功に導き、京都学生人間力大賞京都市長賞を受賞するなど、地域と学生の交流に尽力している点も評価されました。

週末子ども博物館〔代表:理学研究科地球惑星科学専攻沼波 信(ぬなみ しん)さん〕は、来館する子どもたちに研究の楽しさを伝える活動を2004年に始めて以来、3年以上にわたり休むことなく毎週末に開催し、社学連携の模範例を示した点が評価されました。

経済学部の前野裕香(まえのゆか)さん(本日欠席)は、自身の留学体験を踏まえて学び、感じ、考え、伝えることの大切さを語り、第24回土光杯全日本学生弁論大会において、最優秀賞の「土光杯」を受賞されました。

同じく経済学部の多賀谷朋子(たがや ともこ)さんは、読売歌壇の年間賞、また第10回「あなたを想(おも)う恋のうた」最優秀賞を受賞するなど、多くの優れた短歌・俳句を発表し、今後の活躍が大いに期待されています。

京都大学総長賞は、京都大学の学生で、学業・課外活動・社会活動などにおいて、特筆すべき業績を挙げた学生を讃えるために創設した表彰制度です。

3年目を迎えて、今年はとくに、学業・課外活動・社会活動のさまざまの分野にわたって、素晴らしい受賞者が出たことを大変嬉しく思っています。

皆さんがこれからも京都大学の自由の学風の伝統を大切にしつつ、創造的精神の涵養に努めて、より一層活躍されることを願って、私のお祝いの言葉といたします。

総長賞の受賞、誠におめでとうございます。

集合写真

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