船井 哲良記念講堂、船井交流センター竣工式 挨拶 (2007年10月20日)

尾池 和夫

 尾池総長京都祇園甲部の総勢30名の方々による手打式と京舞で竣工式の幕を開けました。秋晴れの京都で船井 哲良様から京都大学にご寄贈いただいた船井 哲良記念講堂ならびに船井交流センターの竣工式を迎え、たくさんの方々に遠路はるばるご参加いただきましたことを、京都大学を代表してこころからお礼申し上げます。

この2つの施設は、京都大学の教育、研究、社会貢献を推進する拠点として、船井 哲良様が個人としてご寄贈くださったものであります。今、その貴重な施設を、京都大学が力強く運用を開始する運びとなったものであります。ひとえに船井 哲良様の、京都大学の教育研究はもちろんのこと、幅広く実施されている産学連携、地域交流の活動、国際貢献への深いご理解の賜であり、あらためて深く感謝申し上げる次第です。

 

船井様竣工に至るまでに、地域の住民の皆様方をはじめとして、関係の皆様にはご支援とご協力をいただきました。厚く御礼申し上げます。

さらなるご説明があると思いますが、これらの施設の建設については、学生や大学院生が、大学から社会に出て活躍するためにという、船井様の深いご配慮と、地域の皆様にも喜んでいただけるような100年を超える建築をという強い信念がありました。その実現のために、船井社長の周りのご関係の方々、自らたびたび現地に足を運んで建設の監修にあたられた塚原博様、設計と施工のあたられた清水建設株式会社の方々に、こころからお礼を申し上げます。

この桂キャンパスから見渡す京都盆地には、1300年ほど前に大陸から酒の文化が伝えられるとともに始まった悠久の歴史があります。その京都に生まれ育った文化の本物に、学生たちが触れる機会を持つことも、たいへん重要であります。

井上流竣工を祝っていただいた祇園手打式は、祇園に伝わる格調高い文化の一つですが、なかなか私たちには触れる機会がありません。この式典に参加してくださった学生や若手の社員の皆様にも、是非この手打式を見せたいという船井様のご厚意であります。井上流の舞を舞ってくださった小富美さんは、井上流京舞の名取りです。井上流京舞五世の井上 八千代さんは京都造形芸術大学の教授でもあり、京都大学の学生が歴代お世話になっている観世流能楽の片山九郎右衛門さんの長女です。そのような伝統を持つ京都盆地を見渡すように桂キャンパスがあり、国際的な活動の中核となるこれら2つの施設の竣工式にとって、まことにふさわしいご配慮をいただきました。

古都京都の世界遺産を持つ京都には世界の研究者たちが集まってきて、しかも長期に滞在します。京都議定書でも最近は知られています。そのような文化の中で、京都大学には110年の歴史の中で生まれた自由の学風があり、世界のトップを行く数々の研究成果が生まれてきました。それらを背景にして、この船井 哲良記念講堂および船井交流センターが、21世紀の世界で活躍する人材を輩出する拠点となって行くことを期待し、併せて、若い人材の活躍をいつまでも暖かく見守って下さるよう、船井 哲良様のますますのご活躍を祈って、私のお礼のご挨拶といたします。

ありがとうございました。