「次世代免疫制御を目指す創薬医学融合拠点」開所式 挨拶 (2007年10月16日)

尾池 和夫

当日の様子京都大学とアステラス製薬株式会社は、「次世代免疫制御を目指す創薬医学融合拠点」の研究拠点として使用するため、予てより医学部B棟の改修工事を進めてきましたが、このたび工事が無事完了し「京大アステラス融合ラボ」として本格的に活動を開始することとなりました。

このプロジェクトの研究経費は、平成19年度文部科学省科学技術振興調整費「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成プログラム」と、アステラス製薬からの共同研究経費により構成されています。また、本「京大アステラス融合ラボ」はアステラス製薬により改修工事が行われ、拠点の中核施設として使用するため、去る10月1日付けで本学に寄附受入され、本日開所式を迎えるに至りました。

この「京大アステラス融合ラボ」を拠点としたプロジェクトの推進により人類の福祉と健康に大きく貢献し、我が国経済の国際競争力の発展に資するものと大いに期待されます。京都大学として、この事業の本格的な活動の開始を誇りに思うものであります。本プロジェクトの推進にあたりお世話になった文部科学省並びに科学技術振興調整機構の皆様にお礼を申し上げるとともに、竹中アステラス製薬共同会長、成宮前医学研究科長をはじめ、本プロジェクトの立案、発足、運営に携わる全ての関係各位に謹んでお慶びを申し上げます。

京都大学は、その基本理念にも掲げていますように、創設以来築いてきた自由の学風を継承・発展させつつ、多元的な課題の解決に挑戦するとともに、地球社会の調和ある共存に貢献することを目的として教育研究活動を展開しております。とりわけ医学分野においては、その基礎研究の成果を診療に繋ぐことをミッションとしております。

また、協働機関であるアステラス製薬におかれましても、「先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する」を経営理念に掲げ、文字どおり人類の幸福と世界の繁栄に貢献するため、ゲノム創薬など最先端の創薬技術を導入し、わが国初のグローバル医薬品の創製を目指して開発研究を進めておられます。

ラボの様子このたびの、京都大学とアステラス製薬が協働して科学技術振興調整費の事業として採択されたことは、両者の掲げる理念・目標、及びこれまでの実績が認められたものであり、日本の創薬における最良・最強の研究チームが編成されたものと考えます。

この「京大アステラス融合ラボ」には、創薬若手研究者10チーム20数名をはじめ、創薬基盤研究者2チームのほか、企業派遣創薬研究チーム、技術支援チーム、知財マネージャーの30名を越える研究者が集約され、創薬研究と技術開発の使命を担った創薬医学研究者を育成しながら、多くの次世代の革新的免疫制御薬を我が国から世界に向けて送りだすことを目指しています。

「京大アステラス融合ラボ」における本プロジェクトの本格的な研究活動の開始により、アカデミアと創薬企業との未だかつてない長期大型の産学連携が発展を続け、創薬医学研究に統合的なシステムイノベーションを創出して、産学連携のモデルとなることを願って、京都大学を代表してのご挨拶とさせていただきます。

ありがとうございました。