大学院薬学研究科医薬創成情報科学専攻設置・施設竣功記念式典 挨拶 (2007年7月6日)

尾池 和夫

尾池総長本日ここに、京都大学大学院薬学研究科医薬創成情報科学専攻設置・施設竣功記念式典を挙行するに当たりまして、京都大学を代表してお祝いのご挨拶を申し上げます。

近年、薬学を取り巻く社会的学問的情勢は大きく変化しています。特に平成18年度より、学校教育法及び薬剤師法の改正に伴い、薬学部は薬剤師教育を主たる目的とする6年制課程と薬学に関する研究、製薬企業における研究・開発・医療情報提供など多様な分野に進む4年制課程の2課程を併置する制度に移行しております。

本教育制度は、高度な職能を基盤とする医療人(薬剤師)と高い創造性を備えた創薬研究者の育成を目指すもので、医療の高度化を願う社会の要請に応えるものであります。世界のトップレベルに位置する本学に対しては、薬学の幅広い領域において指導的人材の育成が強く求められています。

このような状況の中で、平成19年度に、ポストゲノム時代の新しい薬学教育体制の確立を目標に、本学薬学研究科に日本初のIT創薬専攻というべき、この「医薬創成情報科学専攻」が設置されたもので、これは、先端的薬学教育を推進するための組織の整備が図られたものであります。実現にいたるまでの薬学研究科を始め関係各位の熱意と文部科学省のご理解、ご努力に深く感謝いたします。

本専攻は、薬学研究科と化学研究所バイオインフォマティクスセンターが協力して実施してきた全国的にも評価の高い21世紀COEプログラムを発展させ、創薬科学と生命情報科学を融合させた薬学教育・研究の革新を担うものであります。これは世界初の、高度に先端的な融合薬学教育・研究体制を構築し、その基で生命情報科学、化学遺伝学、生命システム工学、創薬情報科学などの、先端的薬学教育を教授し、ポストゲノム時代に対応した次世代の創薬を担う力量ある人材の養成を目的としているもので、この、国内外に例をみない独創性が高く評価され、設置が認められたものであります。

本日、ここにご列席いただいております企業の方々にとりましても、社会的要請が大きい本専攻に特別な期待感を抱かれていることと存じます。

 
当日の様子さて、もう一つのお祝い事であります、施設の竣功ですが、関係者のご努力により、薬学研究科の建物が立派なものになりました。数年前の古い老朽狭隘な建物から、機能性や耐震性が著しく向上した建物に生まれ変わりました。歴代の薬学研究科長のご努力が実り、薬学研究科はソフト面、ハード面ともに京都大学の中でもトップクラスの整備が行われました。これによって、今後益々の教育・研究・社会貢献の進展がみられるものと確信いたしております。

本日、ご列席いただいております、文部科学省、厚生労働省、京都府、京都市、各企業をはじめ、関係者の皆様の更なるご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げまして、私のお祝いのご挨拶といたします。

ありがとうございました。