経営管理大学院開設記念ベンチャーキャピタル国際フォーラム 挨拶 (2006年9月23日)

尾池 和夫

 京都大学経営管理大学院開設記念ベンチャーキャピタル国際フォーラムにご参加の皆さまにお礼のご挨拶を申し上げます。
 京都大学の経営管理大学院は、正式には京都大学大学院経営管理教育部経営管理専攻というコースで、高度の専門的かつ実践的な能力を持つ真のプロフェッショナルとしてのMBAの育成を目的として、本年4月に開設されました。この目的を達成するため、教員構成につきましては、経済学研究科や工学研究科から異動した専任教員に加え、情報学研究科などからの教員の参加、また実務界で活躍している方々を迎えて、文と理、産と学のバランスの取れた教員構成を実現していただきました。また、講義プログラムにつきましても、京都大学の自主独立の学風を活かし、基礎科目では、学生のニーズに合わせられるよう必須科目を設定せず、応用科目や展開科目などでは、多彩な科目を提供し、多様化する経済社会の中において、高度でかつ柔軟なマネジメント能力を身につけるための機会を提供しています。
 今回のフォーラムの主催であります三菱UFJキャピタル寄附講座は、ベンチャーキャピタルの経営及びその関連領域に関して経営学の立場から理論的かつ体系的に研究するとともに、より実践的で応用的な研究としてベンチャーキャピタルの効率的な経営システムの開発を行ない、さらにその成果を大学及び大学院の教育に活かして、ベンチャーキャピタル及び関連業界で活躍できる人材を育成することを目的として、2005年4月、株式会社UFJキャピタル(現 三菱 UFJキャピタル株式会社)の寄附により、京都大学大学院経済学研究科に設置されました。
 その後、本年4月に経営管理大学院が新設された際に、先ほど申し上げました経営管理大学院開設の理念に鑑み、経営管理大学院へと移行いたしております。

 プログラムの主旨にもございますとおり、日本のベンチャーキャピタルの第1号は、1972年に京都に誕生しており、その歴史は30数年とまだ浅いものの、現在では投資残高一兆円の産業へと成長し、次の日本経済を担うベンチャー企業の成長にはなくてはならない存在となっており、ひいては日本経済活性化の一翼を担っております。

 本日、朝から開催されたフォーラムでは、ベンチャーキャピタルの過去、現在を検証し、向こう10年の将来の課題を提示し、対応策を検討するという主旨にのっとり、実践、理論両面から議論を深めていただいたことと思います。

 参加されました皆様にとりましては、実りのあるフォーラムとなったものと確信しております。

 日本のベンチャーキャピタルの発祥の地である京都で、また京都大学において、このような国際フォーラムを開催することができましたことを、大変喜ばしく感じております。

 今後益々のベンチャーキャピタル業界の発展と、ベンチャーキャピタル業界各社のご活躍を祈念しつつ、京都大学経営管理大学院が各界と協力しながら高度の人材を育てることを願って、わたしのご挨拶とさせていただきます。